2011/9 No.387

 

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師の作品を学ぶ
       
 シヨパン弾き了へたるまゝの露万朶
  草田男(昭和十三年作)
 大いなる露のはてなる林檎これ
  幻 魚(昭和二十六年作)
 一視野の露さまざまに日の出いま
  紫 晃(昭和四十一年作)

いずれの句も、三人の師の才気煥発していた壮年期の作品。草田男師三十八才、幻魚師と紫晃師は同年齢の四十二才での作。限り無き俳句への道に精進する決意が溢れてる。草田男師はピアニストの直子夫人からショパン曲の数々を知り得たという。ピアノの詩人と言われたロマン派・ショパンの曲に、「俳句は韻文(詩)である」という俳句の根源を師は意識されたのではないかと思う。万朶の露の玉は抒情の玉なのである。幻魚師の句、大いなる露しぐれの抒情の雫に濡れる紅い林檎こそが、師の求道求魂の証に他ならない。紫晃師の句、視野一面にくまなく朝露が光る。日の出のこの一瞬に輝く抒情の雫の数々は、師がこれから対面する詩魂の数々なのであろうか。結句の「いま」に堅固なる意志が滲む。

我々に「何を求めて俳句を作るべきか」を、三人の師は問うている。

(神田北童記)
 

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飛鳥路
       
 堂溽暑まぶた重たき菩薩像神田北童 
 ひたすら登り汗ひかず 〃 
 風鈴の微動だにせず夜の真闇 〃 
 はやばやと女人高野の夜涼濃し 〃 
 炎帝へ影も動ぜず石舞台 〃 
 おもながに涼気湛ふる飛鳥佛 〃 
 草いきれ高松塚を遠巻きす 〃 
 香具山の雲払ひゆく青田風 〃 
 寺の名のバス停ぽつと辻灼くる 〃 
 飛鳥路のいづこも青田風通ふ 〃 
 一族の墓もろともに寺苑灼く 〃 

 

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黒姫抄
       
 ざらざらの想ひ出めぐる終戦日菅原あや子 
 暮光さす芍薬は白極りて中宮寺立夫 
 烏賊釣火光の帯のうるみけり浅野竹廣 
 父の日や天袋より遺愛の書森泉 透 
 まろやかな風緑立つ分水嶺古坂 房 
 蓮浮葉まだ整はぬ三の堀長峯寿子 
 木曽殿も翁の墓も藪蚊打つ稲沢礼子 
 三条に落ちて散りぢり那智の滝田中公平 
 鳩も居り空濠深く草刈女高橋多美子 
 風死すや枝に蠢くもの集り黒森敦子 
 今朝はなほ口数増えし燕の子野口 久 
 炎帝や溶けしガム踏む交差点脇田 警 
 休耕田我が物顔の燕子花小山まさ志 
 悠々と雲を見送る山法師堀田昌子 
 蝉時雨五合庵をも溺れさす梅本香折 
 足弱を杖と分け合ふ木下闇山瀬やす子 

 

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博塵集 白塵集
       
 ざらざらの想ひ出めぐる終戦日菅原あや子 
 暮光さす芍薬は白極りて中宮寺立夫 
 遺言めく父の口ぐせ南風吹く三浦真佐子 
 未知の坂飛び越えむとす夏の蝶吉田春子 
 烏賊釣火光の帯のうるみけり浅野竹廣 
 父の日や天袋より遺愛の書森泉 透 
 まろやかな風緑立つ分水嶺古坂 房 

 

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机塵集 清塵集(同人)
       
 真田石動ぜぬ謂れ風灼くる長田五月 
 蓮浮葉まだ整はぬ三の堀長峯寿子 
 木曽殿も翁の墓も藪蚊打つ稲沢礼子 
 三条に落ちて散りぢり那智の滝田中公平 
 鳩も居り空濠深く草刈女高橋多美子 
 風死すや枝に蠢くもの集り黒森敦子 
 風鳴らば余震と思ふ夏の夜小林陽子 
 今朝はなほ口数増えし燕の子野口 久 
 岩つばめ厩舎の梁に一並び佐野 明 
 濃き光思はず弾む初蛍青木増江 
 休耕田我が物顔の燕子花小山まさ志 
 炎帝や溶けしガム踏む交差点脇田 警 
 悠々と雲を見送る山法師堀田昌子 
 蝉時雨五合庵をも溺れさす梅本香折 
 汚してはならぬ晩節山法師吉田裕子 
 足弱を杖と分け合ふ木下闇山瀬やす子