2011/11 No.388

 

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師の作品を学ぶ
       
 芭蕉忌や遥かな顔がをる
  草田男(昭和十八年作)
 畦縦横枯れて信濃の一茶忌や
  幻 魚(昭和二十九年作)
 蔵今日も旅者の背景一茶の忌
  紫 晃(昭和四十六年作)

松尾芭蕉は陰暦十月十二日没、五十一歳、小林一茶は陰暦十一月十九日没、六十五歳、いずれも三人の師に大きな影響を与えてる。芭蕉も一茶も、有限の命を自覚して、生ある限り命に執着し、最期まで己の俳句の道を貫いた生き方は同じである。 草田男師は特に芭蕉を敬慕されて芭蕉論を沢山残されてる。その中でも「高悟帰俗」論は、現世相に通じる説得力あるものと受け留めた。志を持ち、現実に背を向けず実践の道が問われてるのだ。その真髄が掲句に表出してる。

一茶については、お国自慢や名物化した偶像化に対し危機感を持って、幻魚師と紫晃師は警告を発してると掲句を通し感じた。 とかく作品のみが一人歩きする一茶については、「凡夫煩悩のまこと」の境地を合わせ探究すべきことを示唆されてるのだと思った。

(神田北童記)
 

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山 霧
       
 尾根路へと小暗き小道木の実鳴る神田北童 
 霧濃しや白馬三峰いづこにぞ 〃 
 痩せ尾根を霧駆けのぼり駆けくだる 〃 
 ゆるやかにがれ場攀じゆく霧の脚 〃 
 岩壁を滑る狭霧の白妙に 〃 
 峡谷に霧のもののけ蹲り 〃 
 霧匂ふ幻想の如ガスる池(八方池) 〃 
 遭難碑洗ひし霧の粒粗き 〃 
 霧雨や白まぎれなき樺林 〃 
 霧籠めの岳に憧れ霧を聞く 〃 
 登攀路ひた下る背に霧の音 〃 

 

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黒姫抄
       
 長考しどんと崩るる九月波菅原あや子 
 簾納む鳥居峠を近くせり吉田長久 
 小さき科涙で拭ふ青葡萄奥原 修 
 澄めるだけ澄みたる池塘影全し三浦真佐子 
 待ち兼ねし朝の木洩れ日桷朱し川原澄子 
 掌より聞く神木の声涼新た長田五月 
 前歯から大人に少女夏惜しむ古畑泰絵 
 滝の音真水のやうな少女たち伊藤穏子 
 夏至暮るる此の世の坂をころばずに松田玉枝 
 月を見て月に見られて正座かな牛山徳冶郎 
 この谷も生きる証の蝉時雨上坂とし子 
 帰り行く子をかなかなと送りけり小岩井峰子 
 子等発ちし部屋の広さよ夜の秋服部米子 
 息弾む男の子を踊る阿波おどり今 朝生 
 寝落つにはしばし間のあり稲光田中 和 
 向日葵に明日への力貰ひたし西 絹代 

 

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博塵集 白塵集
       
 長考しどんと崩るる九月波菅原あや子 
 簾納む鳥居峠を近くせり吉田長久 
 小さき科涙で拭ふ青葡萄奥原 修 
 澄めるだけ澄みたる池塘影全し三浦真佐子 
 待ち兼ねし朝の木洩れ日桷朱し川原澄子 

 

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机塵集 清塵集(同人)
       
 流燈のかなたは千の闇となる長峯寿子
 掌より聞く神木の声涼新た長田五月 
 前歯から大人に少女夏惜しむ古畑泰絵 
 歳時記を読み比べする夜の秋村田 守
 滝の音真水のやうな少女たち伊藤穏子 
 夏至暮るる此の世の坂をころばずに松田玉枝 
 野分あと白樺肌を洗はれし小山まさ志
 秋桜ゆれをる猫の通り道半坂峰子
 月を見て月に見られて正座かな牛山徳冶郎 
 この谷も生きる証の蝉時雨上坂とし子 
 帰り行く子をかなかなと送りけり小岩井峰子 
 子等発ちし部屋の広さよ夜の秋服部米子 
 宣言を涙して聞く原爆忌吉田裕子
 息弾む男の子を踊る阿波おどり今 朝生 
 揺ぎなき憤怒の仁王秋の声山菅良文
 寝落つにはしばし間のあり稲光田中 和 
 稲を刈る音の下り来る棚田かな塩野入靖夫
 向日葵に明日への力貰ひたし西 絹代