2012/1 No.389

 

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師の作品を学ぶ
       
 初寝覚今年なさねばなす時なし
  草田男(来し方行方)
 心の火賜び給へ土けふは凍てぬ
  幻 魚(黒姫三十八号)
 寒柝や一灯低く稿つなぐ
  紫 晃(黒姫百九十八号)

未曾有の東日本大震災で旧年の一年間は幕を閉じた。この大震災を契機に、誰もがさまざまな教訓と、己を見直す機会が与えられた。今何を考え、何をなすべきかを、年頭に当たり冷静に己の胸に問いたい。

そのための示唆を三人の師から得るために、師達の沢山の作品を繙いてみた。草田男師の句は考えるだけでなく、今、時を失わず行動を起こせと示唆してる。幻魚師の句は、その行動を起こす勇気を得る為に、もっと情熱(心の火)を持とうと己を叱咤してる。凍土とはかたくなな心であり、情熱の火は心の凍土を溶かす。紫晃師の句は、寒柝(かんたく)を草田男師・幻魚師の声と考え、その声の示唆を慎ましく引き継ぐのだと教示されてる。やや、飛躍した私流の鑑賞をさせていただいた。

(神田北童記)
 

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しぐれ
       
 藍沈め行く秋の湖ひづみなし神田北童 
 秋の水とどろかずともひびけよと 〃 
 霊廟のかんぬき堅し一声 〃 
 小春日や支援列車に祈り乗せ 〃 
 被災後も法灯不滅冬はじめ(立石寺四句) 〃 
 晩秋の五大堂のみ暮れ残し 〃 
 姥堂に眼を凝らす初しぐれ 〃 
 せみ塚を芯にしぐれの音ばかり  〃 
 真蹟に不易の気迫夕しぐれ(山寺芭蕉記念館) 〃 
 大霜野踏みの声を聴く 〃 
 病む友の惜命かくも冬晴るる 〃 

 

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黒姫抄
       
 彩雲をくぐりて戻る小白鳥菅原あや子 
 もぎたての柿まづ母へ供へけり井上ひさ子 
 大根干す子と暮す日を思ひつつ吉田春子 
 潮騒の揺する一群曼珠沙華友部古鷹 
 木の葉落つ天衣無縫の枝となり増田 正 
 赤とんぼ土塁の天にとどまれり長峯寿子 
 水の声木の声木曽路さはやかに田中公平 
 秋日蔭巌の如く犀眠る高橋多美子 
 今年また知己の目をして小鳥来る野口 久 
 切藁を纏ひ安堵の冬田かな脇田 警 
 炊き上げてまづ神棚へ今年米田中君枝 
 かまきりの一騎斧上ぐ野良の畝神田三布縷 
 野佛に奏楽献ず草雲雀長瀬吉毅 
 大花野暮れて宴の跡めける宝田静子 
 金色の堂にも忍ぶ霜の声梅本香折 
 紅葉且つ散る廃線の眼鏡橋松本千代美 

 

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博塵集 白塵集
       
 彩雲をくぐりて戻る小白鳥菅原あや子 
 彼岸花死は楽に来よ楽に来よ中宮寺立夫 
 白鶴と見まがふ仰臥デスマスク奥原 修 
 もぎたての柿まづ母へ供へけり井上ひさ子 
 奥入瀬の阿修羅の流れ黄落期浅野竹廣 
 大根干す子と暮す日を思ひつつ吉田春子 
 潮騒の揺する一群曼珠沙華友部古鷹 
 木の葉落つ天衣無縫の枝となり増田 正 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 赤とんぼ土塁の天にとどまれり長峯寿子 
 秋風や翁現れよと魚板打つ稲沢礼子 
 片減りの靴の哀歓文化の日古畑泰絵 
 水の声木の声木曽路さはやかに田中公平 
 漁火を灯してよりの夜長かな村田 守 
 秋日蔭巌の如く犀眠る高橋多美子 
 今年また知己の目をして小鳥来る野口 久 
 真新し絵馬も吹かるる神の留守黒森敦子 
 仏滅の日や恙無し冬に入る大家惟男 
 切藁を纏ひ安堵の冬田かな脇田 警 
 炊き上げてまづ神棚へ今年米田中君枝 
 かまきりの一騎斧上ぐ野良の畝神田三布縷 
 野佛に奏楽献ず草雲雀長瀬吉毅 
 大花野暮れて宴の跡めける宝田静子 
 金色の堂にも忍ぶ霜の声梅本香折 
 紅葉且つ散る廃線の眼鏡橋松本千代美