2012/5 No.391

 

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師の作品を学ぶ
       
 田を植ゑるしづかな音へ出でにけり
  草田男(長子・昭和5作)
 田植女のひとりが乳にあがりけり
  幻 魚(幻魚・昭和9作)
 代田凪ぐ夕星一つを芯として
  紫 晃(遠汽笛・昭和45作)

田植機が田を植える現代、田植の風景は郷愁となりつつある。草田男師の句は「しずかな音」に作者が佇立し音に対面してる。師は音との出逢ひに何を求めたのだろうか。(心の安らぎと落着きではと香西照雄氏評にはある)幻魚師の句は田植女に焦点をあて、その母性愛を具体的に嬰児への授乳で表現してる。情が厚い師の人柄が偲ばれる。紫晃師の句は、田植を明日に控えた稲作農の決意が夕星に象徴されたと解釈した。

稲作農家にとり、田植えは一年間の生業の重要な基点である。機械化で忘れ去られてゆく、田植という営みに込められた人間の生きざまの意義を振返り心に留めたい。田植の名句として残る栗生純夫の「田植うるは土にすがれる姿せり」(句碑が須坂市臥竜山にあり)も追記する。

(神田北童記)
 

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春 寒
       
 朝富士の襞昂然と冴え返る神田北童 
 孤峰そは雲離したる二月富士 〃 
 二月富士己が光を恃みとし 〃 
 内浦の淡き群青春を呼ぶ 〃 
 湾口に春光鈍くちりばむや 〃 
 経堂を雪解雫のとり囲む 〃 
 碑裏まで雪解雫の嘆くかに 〃 
 大仏の膝下小さき春の燭 〃 
 春寒へ大仏の胸はだけたり 〃 
 点すもの全ての灯となりし 〃 
 幾重にも余寒迫りし二月堂 〃 

 

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黒姫抄
       
 誰一人来ぬ日とろとろ雪こんこ菅原あや子 
 海鳴りやひたくれなゐに藪椿川原澄子 
 御明かしに銀のほぐるる猫柳吉田春子 
 ルーぺにて文字ふくらます戻り寒森泉 透 
 山裾に光を集む剪定夫長峯寿子 
 ものの芽の早たしかなる影を持つ高橋多美子 
 ひと日ひと日明日へとつなぐ黄水仙松田玉枝 
 たゆみなき就活の吾子水温む青木増江 
 賽銭の乾びし響き初閻魔西澤麻紗子 
 下萌える心の弾み歩幅より西島美恵子 
 下萌えや紙飛行機の宙返り宝田静子 
 幾度も被りて決めし春帽子服部米子 
 端くれを焼べてどんどの火を煽る山菅良文 
 水を飲む鳩の円陣春きざす田中 和 
 上弦の月凍て貨車の軋む音堀川悦子 
 沖空の雲走り来る余寒かな工藤チトミ 

 

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博塵集 白塵集
       
 枝打ちて百年先を仰ぎをり吉田長久 
 誰一人来ぬ日とろとろ雪こんこ菅原あや子 
 海鳴りやひたくれなゐに藪椿川原澄子 
 御明かしに銀のほぐるる猫柳吉田春子 
 砂時計天地反して寒明くる浅野竹廣 
 ルーぺにて文字ふくらます戻り寒森泉 透 
 耳鳴るはいつものことよ遠なだれ田中公平 
 山裾に光を集む剪定夫長峯寿子 
 岩塩の未知なる甘さ黄砂降る古畑泰子 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 ものの芽の早たしかなる影を持つ高橋多美子 
 朧夜の犬の遠吠え余震なほ大家惟男 
 ひと日ひと日明日へとつなぐ黄水仙松田玉枝 
 たゆみなき就活の吾子水温む青木増江 
 賽銭の乾びし響き初閻魔西澤麻紗子 
 晩酌や琥珀の酒に氷柱薙ぐ小山まさ志
 地酒酌み春宵の嘆原発禍神田三布縷 
 大寒や鋭き水吐ける竜の口長瀬吉毅 
 水温み明日の米研ぐ音かろし田中君枝 
 ひと吹きの風に頷く黄水仙半坂峰子 
 春北風復元の城狙ひ討つ梅本香折 
 下萌える心の弾み歩幅より西島美恵子 
 下萌えや紙飛行機の宙返り宝田静子 
 幾度も被りて決めし春帽子服部米子 
 下りまし湖に琴柱の御神渡り堤 ロ雲 
 端くれを焼べてどんどの火を煽る山菅良文 
 水を飲む鳩の円陣春きざす田中 和 
 上弦の月凍て貨車の軋む音堀川悦子 
 沖空の雲走り来る余寒かな工藤チトミ