2012/7 No.392

 

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師の作品を学ぶ
       
 をみな等も涼しきときは遠を見る
  草田男(銀河依然・昭和26作)
 青嶺百われは終生信濃つ子
  幻 魚(幻魚・昭和34作)
 青木曾や何処に佇つも水の音
  紫 晃(雪解光・平成2作)

「遠」には遠い所(遠方)と遠きもの(遠い昔)と二つの意味がある。草田男師の句はこの二つが重なる。「おみな」は女性全般を指す。普段家事に追われ忙しい主婦が、ふと、涼しさで我にかえり遠方を眺めてる姿と解釈されてる。しかし、沢山のキャリア・ウーマンが活躍する現代女性の日常のひとこまと考えてもよい。「遠」に広がるのは青空、青き嶺々。幻魚師の句には、青い嶺々に囲まれ、孤高の詩人を貫いた師の面目が躍如としてる。「青嶺百峰」に師の心胆が光る。紫晃師の句は、こよなく愛した木曾の夏景を見事に捉えてる。「青木曾」の青がほとばしる様に響く。青色をモチーフとする三題である。画家ピカソの作風が「青の時代」から出発したことを思い起こした。

(神田北童記)
 

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櫻 花
       
 春嶺へ向き一列に球児駆く神田北童 
 咲き揃ひ辛夷の声の樹を揺する 〃 
 俤に届くばかりの花明り 〃 
 一番星低し満ちくる夕櫻 〃 
 花冷や納戸貧しき武家屋敷 〃 
 夕櫻満つる城址の月掲げ 〃 
 櫻散る親鸞像の肩幅へ 〃 
 飛花落花しきに何を促すや 〃 
 束の間に花の乱舞の転結す 〃 
 息詰めて落花の坂をふりむけり 〃 
 今生を古木の残花咲き尽す  〃 

 

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黒姫抄
       
 飼犬の夜鳴き長々春嵐中宮寺立夫 
 花吹雪黄泉もかくやと風に問ふ奥原 修 
 岩を打つ水音に覚めし猫柳古坂 房 
 夜桜や婆が介助の車椅子友部古鷹 
 洩るる灯の窓辺にすつく夜の新樹増田 正 
 千匹の絵馬よ嘶け花盛ん長田五月 
 夫遺愛のガレのスタンド春灯す稲沢礼子 
 養花天鳶の自在を許したり黒森敦子 
 花冷や水面に消えし天守閣村田 守 
 一片も散らさぬ気概老櫻脇田 警 
 春波濤殉国の碑やなにいわん佐野 明 
 夏炬燵白寿の母にやさしけり吉村郁子 
 母の日や母に教へる母の歳今 朝生 
 御明りの白き影引く日永かな山瀬やす子 
 山肌を濃く映しつつ田水張る伊藤山葵 
 何時の日かブーケにしたきおほでまり西 絹代 

 

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博塵集 白塵集
       
 飼犬の夜鳴き長々春嵐中宮寺立夫 
 花吹雪黄泉もかくやと風に問ふ奥原 修 
 木漏れ日の足りて片栗花増やす三浦真佐子
 岩を打つ水音に覚めし猫柳古坂 房 
 夜桜や婆が介助の車椅子友部古鷹 
 洩るる灯の窓辺にすつく夜の新樹増田 正 
 千匹の絵馬よ嘶け花盛ん長田五月 
 夫遺愛のガレのスタンド春灯す稲沢礼子 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 養花天鳶の自在を許したり黒森敦子 
 裏返る蕗の葉白き嶽の風野口 久 
 花冷や水面に消えし天守閣村田 守 
 一片も散らさぬ気概老櫻脇田 警 
 春波濤殉国の碑やなにいわん佐野 明 
 忌の集ひ縁者まろむる蓬餅牛山徳治郎 
 断髪の少女のキック風光る上坂とし子 
 入信を誘ふ呼鈴聖五月岩原和子 
 夏炬燵白寿の母にやさしけり吉村郁子 
 母の日や母に教へる母の歳今 朝生 
 御明りの白き影引く日永かな山瀬やす子 
 のど飴を舌に転ばす日永かな松本千代美 
 山肌を濃く映しつつ田水張る伊藤山葵 
 何時の日かブーケにしたきおほでまり西 絹代