2012/9 No.393

 

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師の作品を学ぶ
       
 葡萄食ふ一語一語の如くにて
  草田男(銀河依然・昭和22作)
 倶に旅の紅き林檎ころがし合ひ
  幻 魚(幻魚・昭和28作)
 (妻の実家の林檎園にて)  
 実家に来て良く笑ふ妻林檎熟る
  紫 晃(遠汽笛・昭和43作)

草田男師には「如く」の直喩句が少ないが、残されて句は深みを持つ。この句を宮脇白夜氏は「一語一語という懇ろな措辞が、葡萄の一粒一粒にロゴス(論理)の重みを与えてる」と評す。葡萄の一粒一粒を「神の言」と解釈すると、敬虔な祈りの光景にも思えてくる。幻魚師の句は、同じ秋の味覚を味わう時でも、人間への親愛感を忘れない。旅の宿で友人等と共に林檎と戯れる状景がほほえましく、師の無垢な笑い声が聞える。

「倶に」は「倶一会」にも通じる。紫晃師の句は、素直なけれん無い措辞から、夫婦愛がじわっと伝わる明快なる句である。奥様の独特の弾む笑い声が直ぐに浮かんだ。代表的な秋の果物、葡萄、林檎を句材に取り上げても、人の心を詠う句作精神が身に付いてる師の懐の深さを感じた。

(神田北童記)
 

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今年竹
       
 鼻欠けの野地蔵囲む今年竹神田北童 
 緑陰の比翼を広げ誰待つや 〃 
 酒杜りの蔵壁揺する青田風 〃 
 大蝦蟇の声に暗める潟の池 〃 
 梅雨茫々越の幻魚てふ五寸魚 〃 
 勅使門朽つるを宥む梅雨雫 〃 
 立葵真向かふ紅の居丈高 〃 
 青葉池あまた水輪の呼応せり 〃 
 はらからの墓石青嶺に見守らる 〃 
 灯の入りて祭提灯たかぶり来 〃 
 彼方から祭笛の音一縷なる 〃 

 

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黒姫抄
       
 人生の沸点に居て星迎菅原あや子 
 人形の涼しき眉目一語欲し井上ひさ子 
 青葉かげ石に刻みし譜の唱ふ川原澄子 
 凌霄花手繰れば空の崩れ落つ浅野竹廣 
 口開けて眠る金魚や遠太鼓吉田春子 
 空洞の土偶の目力半夏生古畑泰絵 
 笹百合の首刎ね猿の罷りけり黒森敦子 
 ラケットの素振りに揺るる凌霄花小林陽子 
 糠雨や大山蓮華艶めけり長瀬吉毅 
 河童忌やピクルス添ふる朝餉パン神田三布縷 
 浮かびては消ゆる一句や明易し青木増江 
 蛍待つ闇の一点まばたけり田中 和 
 蟻走る負けてならじと起ち上る吉田裕子 
 梅雨晴間ソプラノアルト声光る笹沢ワカ子 
 携帯を持たぬ気軽さ若葉風奥原昭子 
 野地蔵の足に囁く小判草工藤チトミ 

 

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博塵集 白塵集
       
 人生の沸点に居て星迎菅原あや子 
 人形の涼しき眉目一語欲し井上ひさ子 
 青葉かげ石に刻みし譜の唱ふ川原澄子 
 凌霄花手繰れば空の崩れ落つ浅野竹廣 
 口開けて眠る金魚や遠太鼓吉田春子 
 蝉の声話しかけくる無言館長峯寿子 
 空洞の土偶の目力半夏生古畑泰絵 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 笹百合の首刎ね猿の罷りけり黒森敦子 
 城壁を洗ひたてたる走り梅雨高橋多美子 
 群舞して光の緞子蛍の夜野口 久 
 峡のダム暗む岸辺や夏に入る大家惟男 
 ラケットの素振りに揺るる凌霄花小林陽子 
 糠雨や大山蓮華艶めけり長瀬吉毅 
 河童忌やピクルス添ふる朝餉パン神田三布縷 
 浮かびては消ゆる一句や明易し青木増江 
 蛍待つ闇の一点まばたけり田中 和 
 蟻走る負けてならじと起ち上る吉田裕子 
 梅雨晴間ソプラノアルト声光る笹沢ワカ子 
 携帯を持たぬ気軽さ若葉風奥原昭子 
 野地蔵の足に囁く小判草工藤チトミ