2012/11 No.394

 

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師の作品を学ぶ
       
 月光の壁に汽車来る光かな
  草田男(句集「長子」)
 子規読まん夜は澄みまさる月信濃
  幻魚(句集「幻魚」)
 月を観る誘なひ岳父の筆たしか
  紫 晃(句集「遠汽笛」)

草田男師の句、耿々たる月光の壁なす中を、夜汽車の灯がひとすじ現れた大景。「汽車の来る人工の光は、俳諧から現代俳句へ超出しょうとする姿勢」と宮脇白夜氏は解説する。幻魚師の句、信濃の澄みきった月光を浴びて、子規の「俳諧大要」を読む師の姿が彷彿とする。「俳諧大要こそ根本・基本」と口癖であった師の教えを想起した。

紫晃師の句、草田男と幻魚が「月」に示唆した俳句の道へ、恰も、誘われてる様に観月への一歩を踏み出したのである。「岳父の筆」を二人の師の姿とすれば、この句は月三題として完結する。そして、三題の底流にこそ黒姫誌の理念「不易流行」が脈打つと私は思う。「長子」の跋にある「昨日の伝統に眠れる者でなければ、所謂、今日の新興に乱るる者でもない。」の一節を、もう一度噛みしめてる。

(神田北童記)
 

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ねぶた笛
       
 百日紅閻王像のみに燃ゆ神田北童 
 幽谷をなぶり駆けゆく大雷雨 〃 
 隧道を抜ければ雷雨はたと止む 〃 
 湖よぎる水脈いくすぢも夏惜しむ 〃 
 先ぶれに高燈籠の鎮めゆく(青森ねぶた祭五句)
 出陣を待つねぶた絵の漲る眼神田北童 
 繰り返す追慕の調べねぶた笛 〃 
 有無もなくねぶた囃子の炸裂す 〃 
 したたかにねぶた太鼓の打たれけり 〃 
 おちこちに牧の飛蝗の祝婚歌(三男、山田牧場で婚儀・二句)
 錦秋へ向く道半ばこの一歩 神田北童 

 

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黒姫抄
       
 棟上げの掛矢初秋の日をはじき吉田長久 
 よく生きしの思ひ湧き出づ破芭蕉友部古鷹 
 閃光の一滴なりし夏の露増田 正 
 新薬の一つを信じ髪洗ふ長峯寿子 
 秋暑し手擦れの句帳ふところに田中公平 
 新涼や模型飛行機風に乗り村田 守 
 吾が身をも持て余しをり酷暑かな脇田 警 
 だみ声もあふる堂内施餓鬼寺西澤麻紗子 
 鎌使ふ先に飛び散る汗の玉西島美恵子 
 厨房に南瓜どつしり居座りぬ小山まさ志 
 白芙蓉今朝も一花に和みたり服部米子 
 昃れば立秋の風額に来し宝田静子 
 枝豆の飛び出る不思議子の眼宮尾静子 
 尾で蠅を追ひたる牛の健啖や堀川悦子 
 玉砕の島々遠し初蛍本多紀男 
 観音の慈悲を以ても酷暑なる奥谷茂由 

 

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博塵集 白塵集
       
 棟上げの掛矢初秋の日をはじき吉田長久 
 月光に山河鎮まる厄日かな三浦真佐子 
 よく生きしの思ひ湧き出づ破芭蕉友部古鷹 
 襟足の髪切りてより暑に耐へる古坂 房 
 閃光の一滴なりし夏の露増田 正 
 新薬の一つを信じ髪洗ふ長峯寿子 
 晩婚の成りてメロンに銀の匙稲沢礼子 
 百日紅枡形の露地寂静と長田五月 
 秋暑し手擦れの句帳ふところに田中公平 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 片蔭や子安地蔵に膝を折る野口 久 
 新涼や模型飛行機風に乗り村田 守 
 吾が身をも持て余しをり酷暑かな脇田 警 
 連弾の垣間満たせりちちろ虫梅本香折 
 書きかけの残暑見舞もそのままに上坂とし子 
 星影に稲穂の匂ひ濃かりけり青木増江 
 日盛りや顎つけて伏す散歩犬牛山徳冶郎 
 だみ声もあふる堂内施餓鬼寺西澤麻紗子 
 鎌使ふ先に飛び散る汗の玉西島美恵子 
 厨房に南瓜どつしり居座りぬ小山まさ志 
 白芙蓉今朝も一花に和みたり服部米子 
 昃れば立秋の風額に来し宝田静子 
 枝豆の飛び出る不思議子の眼宮尾静子 
 尾で蠅を追ひたる牛の健啖や堀川悦子 
 手作りの椅子のでこぼこ月涼し奥原昭子 
 玉砕の島々遠し初蛍本多紀男 
 観音の慈悲を以ても酷暑なる奥谷茂由