2013/3 No.396

 

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師の作品を学ぶ
       
 菫束ぬ寄りあひ易き花にして
  草田男(句集・銀河依然・昭和二十五年作)
 菫濃しや人の契りは短くて
  幻 魚(句集・幻魚・昭和四十三年作)
 花菫うつしレコード廻りゐる
  紫 晃(句集・遠汽笛・昭和二十四年作)

師夫々の句集より、掲句の作句年齢を推定した。草田男師四十九才・幻魚師六十才・紫晃師二十四才である。草田男師の句を「上五と中七以下の内容に断絶があり、句は一見分かり易いが、難解。作者の複雑な心の揺れがある」と宮脇白夜氏が鑑賞してる。親として子の成長過程への思慮洞察なのだろうか。

幻魚師の句は、長野市歌ケ丘に建立された句碑に刻まれてる作品。生涯の中で俳句活動が一番充実し、俳誌発行や俳画制作・諸文芸活動への多感な傾斜で周囲と広く交流した途上での感慨なのだろうか。

紫晃師の句は、第一句集の四番目の登場する青春時代の作品。戦後間もない物資不足の最中、菫の花を活け、レコードを聴いてる文学青年の姿なのだろうか。曲はもしかして「菫の花咲く頃」。作品には夫々の人生が活写されており、句作年齢を想定することで尚更、実像に迫れる様な気がする。幻魚遺訓の「句は己の影・形・分身である」が身に沁みる。

(神田北童記)
 

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初御空
       
 大仏の瞼みなぎる初御空神田北童 
 大仏のあらはに初日差 〃 
 吉書揚ぐ火の粉囃され天心へ 〃 
 燭揺れず初勤行の一途なり 〃 
 初晴や心を無礙に先ず一歩 〃 
 懐旧の一語添へくる年賀状 〃 
 惜しむらくは友と再会賀状のみ 〃 
 なにもかも封じ込めたる結氷湖く 〃 
 冬晴を見上ぐしんそこ無心なり 〃 
 寒晴の嶺々に矜持を思ふべし 〃 
 今生に積み上ぐ出逢ひ初茜川原澄子句集上梓を祝ぐ

 

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黒姫抄
       
 神域は鳩にもやさし初日影中宮寺立夫 
 海吠ゆる吹き零したる七日粥菅原あや子 
 凍裂の傷新しく雑木山三浦真佐子 
 七種や未知の月日へ粥を吹く古坂 房 
 一と山を埋めても静か冬桜長峯寿子 
 はらからの九十路の賀状襟正す稲沢礼子 
 朴落葉急がず行けと言ふてゐる田中公平 
 木枯に竹千幹のうねりかな脇田 警 
 茎漬の石の思案や夕厨西澤麻紗子 
 古里の棚田いづこや雪無限上坂とし子 
 喜寿すぎてなほ主婦の座に七日粥田中君枝 
 エチオピアモカ愛飲す寒極め今村芳巨 
 初暦一礼をして捲りたる半坂峰子 
 不揃ひの大根引く農四十年塚本瑛子 
 たどたどし心届けと初便り工藤チトミ 
 轆轤挽く確かな刄音初仕事奥谷茂由 

 

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博塵集 白塵集
       
 神域は鳩にもやさし初日影中宮寺立夫 
 「今上」の句集読みつぐ二日かな 吉田長久 
 海吠ゆる吹き零したる七日粥菅原あや子 
 凍裂の傷新しく雑木山三浦真佐子 
 大寒や鬼の首でも取つた気に友部古鷹 
 七種や未知の月日へ粥を吹く古坂 房 
 一と山を埋めても静か冬桜長峯寿子 
 はらからの九十路の賀状襟正す稲沢礼子 
 朴落葉急がず行けと言ふてゐる田中公平 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 枯るるもの枯れて無傷の空の蒼高橋多美子 
 餅を搗く父の大きさ仰ぐ子ら村田 守 
 木枯に竹千幹のうねりかな脇田 警 
 七種や鳥啄ばみし菜も加へ青木増江 
 朝茜峰へ広がり寒の月佐野 明 
 茎漬の石の思案や夕厨西澤麻紗子 
 古里の棚田いづこや雪無限上坂とし子 
 喜寿すぎてなほ主婦の座に七日粥田中君枝 
 エチオピアモカ愛飲す寒極め今村芳巨 
 初暦一礼をして捲りたる半坂峰子 
 被写体は一輛電車大枯野宝田静子 
 不揃ひの大根引く農四十年塚本瑛子 
 冬椿女の嫉妬かくさねば笹沢ワカ子 
 たどたどし心届けと初便り工藤チトミ 
 轆轤挽く確かな刄音初仕事奥谷茂由