2013/5 No.397

 

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師の作品を学ぶ
       
 浅間と小浅間振子飛びして岩燕
  草田男(昭和五十三年作)
 燕並む子燕はすぐ直ぐに啼く
  幻 魚(昭和二十九年作)
 駅燕親し遥ろかへ旅恋ふる
  紫 晃(昭和四十七年作)

草田男師の句は、晩年、別荘を持っていた軽井沢周辺での作、信州は草田男師にとり第二の故郷の如き存在と「草田男俳句365日」(宮脇白夜著)にあり、信州人が瞼に直ぐ浮かべられる風景である。岩燕の飛翔を振子飛びと描写し、初夏の明るい躍動感に充つる。

幻魚師の句は、軒燕の子育て風景であろう。子煩悩な師の気持が直載に表わされ、子燕の鳴く声が「すぐすぐ」のリフレインで間近に聞えて来る。紫晃師の句は、国鉄勤務時代の作で、燕と共に勤務された駅長時代が彷彿とする。遥ろかへの旅とは、燕、それとも師自身なのだろうか。旅愁も漂う句である。いずれの句も小さな命へそそぐ愛情に溢れてる。

(神田北童記)
 

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木の芽
       
 雲一朶はなさざる富士冴返る神田北童 
 裏富士へ木の芽潜めし峠越ゆ 〃 
 寒明けや微塵も寄せぬ表富士 〃 
 隈取りに棚田の雪解はじまりぬ 〃 
 蒼天へうごめく木の芽鳶の影 〃 
 鶏鳴のゆきわたりたる彼岸寺 〃 
 燭二つはっとう法堂へ春招きたる 〃 
 文豪の碑へ紅梅の香を運ぶ 〃 
 名僧の碑文字なだらか春浅し 〃 
 蝋梅の移り香辿り禅堂へ 〃 
 吾に何出来るや三・一一忌 〃 

 

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黒姫抄
       
 梢みな風の触手に春の山奥原 修 
 珊瑚礁の白き砂噛む宝貝川原澄子 
 千代紙の淡きを選ぶ春の宵吉田春子 
 工房の轆轤より生る蝶の昼浅野竹廣 
 身の内に居据る戦後悴める森泉 透 
 波の詩聴きつつ若布乾きをり長田五月 
 被災児の泣きに来るとや春炬燵野口 久 
 啓蟄の笠雲茜尽くしたる黒森敦子 
 斑雪問はず語りに父の事小林陽子 
 湯浴み猿しばらく反りし四温晴梅本香折 
 返り花ハイネひもとく友何処小山まさ志 
 手作りの菱餅の紅染め足りし山瀬やす子 
 日差し濃し呟くやうに障子鳴る田中 和 
 ビル風に向かひ一声寒鴉堀川悦子 
 クレヨンの引く眉優し紙の雛奥原昭子 
 こごみ採り雪解の水の山揺する櫻井半吉 

 

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博塵集 白塵集
       
 心ゆく許りに更けてお水取り中宮寺立夫 
 梢みな風の触手に春の山奥原 修 
 臘梅に花ぬすびとの思ひふと井上ひさ子 
 珊瑚礁の白き砂噛む宝貝川原澄子 
 千代紙の淡きを選ぶ春の宵吉田春子 
 工房の轆轤より生る蝶の昼浅野竹廣 
 身の内に居据る戦後悴める森泉 透 
 ばら色が紫雲となりて冴返る増田 正 
 波の詩聴きつつ若布乾きをり長田五月 
 明日からは一日一句ぞ春の雷古畑泰絵 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 被災児の泣きに来るとや春炬燵野口 久 
 啓蟄の笠雲茜尽くしたる黒森敦子 
 斑雪問はず語りに父の事小林陽子 
 落石を岨(そば)に抱えて雪残る大家惟男 
 湯浴み猿しばらく反りし四温晴梅本香折 
 齢の数手窪に溢る年の豆長瀬吉毅 
 天鵞絨の帳に包む春の闇神田三布縷 
 習吟や大寒の気を下つ腹牛山徳冶郎 
 返り花ハイネひもとく友何処小山まさ志 
 春寒と書き出す返書遅々として西島美恵子 
 手作りの菱餅の紅染め足りし山瀬やす子 
 日差し濃し呟くやうに障子鳴る田中 和 
 ビル風に向かひ一声寒鴉堀川悦子 
 クレヨンの引く眉優し紙の雛奥原昭子 
 こごみ採り雪解の水の山揺する櫻井半吉