2013/7 No.398

 

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師の作品を学ぶ
       
 はまなすや今も沖には未来あり
  草田男(句集「長子」)
 摩利支天青嶺に祈れ子の未来
  幻 魚(黒姫誌一六六号)
 「さて」てふは決意の一語雲の峯
  紫 晃(句集「青山椒」)

草田男師著「俳句入門」では、物を通して事を語る、暗示と連想の象徴俳句について縷々説かれてる。 三人の師の句は正にその真髄と思う。

草田男師の句は、はまなすと水平線の彼方とのコントラストに象徴される「未来」であり、幻魚師の句は、三面六臂の天女像の暗示と、聳える青嶺に象徴される「未来」であり、紫晃師の句は、夏空に湧き上がる雲の峯に象徴される、並々ならぬ「決意」である。

三人の師は共に、己の内面界について「物」を通して我々に語ってくれている。殊に、これまで、自分自身の心底を直載に表現した心象句の少ない紫晃師の句に私は注目した。「さて」という独白に籠もる思い、沈黙の瞬間が、強く印象づけられた。

(北童記)

はまなす注)草田男師の句「はまなす」は、正しくは左の表記です。
ホームページの表記制限で、ひらがなとさせてもらいました。


 

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師のことば
       
 師のことば花冷の道歩ましむ神田北童 
 春望や句碑に真向ひ言交す 〃 
 梢より高きに映ゆる姫こぶし 〃 
 円墳の影春光のまどかなり (明日香村三句) 〃 
 石舞台四方のたんぽぽ囃しけり 〃 
 春昼の耳朶のびのびと飛鳥仏 〃 
 人混みへ奥千本の桜散る  (吉野山三句) 〃 
 訪へざりし西行庵に花盛る 〃 
 若葉影かすかに匂ふ修行堂 〃 
 倒影のきりしまつつじ水面燃ゆ 〃 
 英霊てふ父に会ひたる昭和の日 〃 

 

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黒姫抄
       
 からまつの幹かぐろしや青葉雨吉田長久 
 咲き満ちて辛夷つくづくしづかなり三浦真佐子 
 クレヨンのお日様の色花ポピー井上ひさ子 
 綺羅星を地に移すかに犬ふぐり友部古鷹 
 待ちに待ち庭の香りの木の芽和へ長峯寿子 
 芍薬の蕊の香りの矜持かな稲沢礼子 
 誰彼の芭蕉偲ぶ眼緑映ゆ高橋多美子 
 いつせいに口の黄を開け燕の子村田 守 
 山に棲み一食分の木の芽摘む脇田 警 
 花筏出水口より崩れ落つ佐野 明 
 山鳩の声の目覚めや明易し青木増江 
 芽吹かんと朴の剣さき昼の月上坂とし子 
 花冷えの空真二つに飛行機雲半坂峰子 
 その中に代田とならぬ田一枚宝田静子 
 夕風に愁をおびし白牡丹吉村郁子 
 あかやしお林鉄の席替り合ふ堀田昌子 

 

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博塵集 白塵集
       
 からまつの幹かぐろしや青葉雨吉田長久 
 海凪へ路地といふ路地みなうらら菅原あや子 
 咲き満ちて辛夷つくづくしづかなり三浦真佐子 
 クレヨンのお日様の色花ポピー井上ひさ子 
 綺羅星を地に移すかに犬ふぐり友部古鷹 
 雪しろの山の匂ひを掬ひけり田中公平 
 待ちに待ち庭の香りの木の芽和へ長峯寿子 
 芍薬の蕊の香りの矜持かな稲沢礼子 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 誰彼の芭蕉偲ぶ眼緑映ゆ高橋多美子 
 いつせいに口の黄を開け燕の子村田 守 
 山に棲み一食分の木の芽摘む脇田 警 
 花筏出水口より崩れ落つ佐野 明 
 山鳩の声の目覚めや明易し青木増江 
 芽吹かんと朴の剣さき昼の月上坂とし子 
 花びらのしとね歩みて妹送る堀田芙美子 
 桜蕊払ひて子等の滑り台田中君枝 
 花冷えの空真二つに飛行機雲半坂峰子 
 その中に代田とならぬ田一枚宝田静子 
 江ノ電の窓より入り来初夏の騒今村芳巨 
 夕風に愁をおびし白牡丹吉村郁子 
 あかやしお林鉄の席替り合ふ堀田昌子 
 代掻きの行く手に遊ぶ鴉かな松本千代美 
 代掻きや鴉ひよこひよこ後を追ひ伊藤山葵 
 床の間に一片闖入花の塵宮尾静子