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| 香水の香ぞ鉄壁をなせりける | |||
| 草田男(句集「長子」昭和八年) | |||
| 見(マミ)えねど耳朶には師訓蝉熱し | |||
| 幻魚(句集「幻魚」昭和五十年) | |||
| 広く濃き銀河となりぬ師に逢はな | |||
| 紫晃(句集「青山椒」昭和五十四年) | |||
草田男師の句は三十二才の作。この年に大学卒業(卒業論文は「子規の俳句観」)し、教師になると年譜にある。昭和四年から「ホトトギス」へ投句をはじめ、虚子に期待され師は俳壇へ登場した。八年には虚子に伴われて北海道、東北の地を吟行してをり、東大俳句会幹事、一俳人として「自然のみならず、人間をも凝視する俳句観」を、既に備えていたと思われる。
この句の解釈を「香水は若い女性の香り。内気で生真面目な独身青年の社会生活は、まず鉄壁のように立ちはだかる香水との対決かはじまる」と宮脇白夜氏が記してる。教師として若い学徒の心情を把握された句であり、後に人間探求派俳人と評される所以をも推量できる句と私は解釈させて貰った。
幻魚句と紫晃句には、ヒューマニティ探究者としての草田男師に親炙(しんしゃ)する喜びが素直に句へ表現されてる。幻魚師の句は、師への熱き思いが「蝉熱し」に如実に比喩されてをり、紫晃師の句は、神戸の萬緑全国大会で師との対面に臨む心境が吐露されている。当時、草田男師七十八才・紫晃師五十四才で、幻魚師は既に亡き人であった。
(北童記)
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| 古殿地の風もひそかに花の昼 | 神田北童 | ||
| 土宮と風宮の春未だ遅々 | 〃 | ||
| みたらしに春光掬ふ五十鈴川 | 〃 | ||
| 風の神祀る社へ春疾風 | 〃 | ||
| 一隅の櫻一樹に風豊か | 〃 | ||
| 大空へ頬白の声奢りなし | 〃 | ||
| 湖の波たえまなく春運びくる | 〃 | ||
| 湖心まで雨に煙りぬ櫻冷え | 〃 | ||
| 連翹の燃え「周航の歌」熱き | 〃 | ||
| 花冷えや湖波片寄すばかりなり | 〃 | ||
| 胆を打つ奉拝太鼓春深し | 〃 | ||
| 鶯の声の厳か一の宮 | 〃 |
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| 巴淵過ぎてまた組む花筏 | 奥原 修 | ||
| 寂寞の大社鶯諸声に | 川原澄子 | ||
| 花冷えや水門落つる水谺 | 古坂 房 | ||
| 引き出しに溢るる歴史昭和の日 | 長田五月 | ||
| まさに春あふるる諏訪の御神湯 | 古畑泰絵 | ||
| 殉国碑雄々しく伸びし松の芯 | 高橋多美子 | ||
| 閃々と葦の角打つ波頭 | 黒森敦子 | ||
| 水絵めく春たけなはの諏訪の湖 | 野口 久 | ||
| 剪定夫老いて鋏に迷ひなし | 脇田 警 | ||
| 揺るるたび解かるるごとし白牡丹 | 青木増江 | ||
| まんさくの色とぢこむる雨雫 | 佐野 明 | ||
| 見えさうな稚(ヤヤ)の瞳に梅含む | 上坂とし子 | ||
| 馬屋口の縄ぶらんこや木曽の里 | 堀田芙美子 | ||
| 水中花まだ吐く息を持ちてをり | 宝田静子 | ||
| 叩かれて鳴り出すラジオ四月馬鹿 | 田中 和 | ||
| あどけなき顎髭もちて卒業す | 宮尾静子 |
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| 巴淵過ぎてまた組む花筏 | 奥原 修 | ||
| しやぼん玉優しき息に育てけり | 三浦真佐子 | ||
| 寂寞の大社鶯諸声に | 川原澄子 | ||
| 花冷えや水門落つる水谺 | 古坂 房 | ||
| 引き出しに溢るる歴史昭和の日 | 長田五月 | ||
| まさに春あふるる諏訪の御神湯 | 古畑泰絵 | ||
| 殉国碑雄々しく伸びし松の芯 | 高橋多美子 |
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| 閃々と葦の角打つ波頭 | 黒森敦子 | ||
| 水絵めく春たけなはの諏訪の湖 | 野口 久 | ||
| 濡れそぼつ柳絮踏みしめ一句待つ | 小林陽子 | ||
| 剪定夫老いて鋏に迷ひなし | 脇田 警 | ||
| ラジオのみ囃し立てをる摘果かな | 梅本香折 | ||
| 揺るるたび解かるるごとし白牡丹 | 青木増江 | ||
| まんさくの色とぢこむる雨雫 | 佐野 明 | ||
| 節分草九十九折りなす父の里 | 西澤麻紗子 | ||
| 見えさうな稚(ヤヤ)の瞳に梅含む | 上坂とし子 | ||
| 馬屋口の縄ぶらんこや木曽の里 | 堀田芙美子 | ||
| 水中花まだ吐く息を持ちてをり | 宝田静子 | ||
| 叩かれて鳴り出すラジオ四月馬鹿 | 田中 和 | ||
| あどけなき顎髭もちて卒業す | 宮尾静子 | ||
| 葉桜やひとりぼつちの停留所 | 西 絹代 |
