2015/1 No.407

 

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師の作品を学ぶ
       
 寒の暁ツイーンツイーンと子の寝息
  草田男(句集「来し方行方」昭和二十一年)
 鳩くくと彼岸花寺六地蔵
  幻 魚(黒姫百四十三号昭和四十年)
 沈々と雪積む夜や遠汽笛
  紫 晃(黒姫二百四十号昭和六十二年)

オノマトぺとリフレインの句を抽出し、師達の感性と言葉の愛着感に迫ってみた。草田男師の句は文字通り擬音語の繰り返しが一句の中心をなして迫って来る。「ツイーン」という音階的な響きを持つ擬音語は師の感性から発しられた独特のものである。終戦直後、荒ぶる世相の中での家族愛あふるる句と受け止めた。

幻魚師の句は寺鳩が境内にくぐもる鳴声をそのまま擬音語としたのである。彼岸花の咲く寺と六地蔵の取り合せは陳腐と思うが、その平穏陳腐な雰囲気を「くく」という擬音語が揺り動かし、静から動への展開の端緒としている。

紫晃師の句、長く勤務された鉄道生活を積雪の嵩に喩えると、「沈沈」から歳月の重さを感じる。今夜も又その上に、「沈沈」と一期を積み上げてるのである。遠汽笛がそれを愛惜する如く響いてくる。この様に、擬音語は対象の音や声を言葉で表し、擬態語は対象の様子や心情を言葉で表すのであるが、三師ともに夫々の感性により、言葉の働きを熟知された用い方をされている。

(北童記)
 

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山眠る
       
 菊献花このひともとの深祈り神田北童 
 残菊の未だ活き活きと一隅に 〃 
 菊花展坐を得て小菊またたけり 〃 
 掃き寄せて萩屑に耳澄ましけり 〃 
 暮れ残る積石塚に残る虫 〃 
 残る虫されど寄辺に石ばかり 〃 
 行く秋を見つむ慧眼芭蕉像(深川芭蕉庵) 〃 
 句碑一つのみに秋行く芭蕉庵( 々 ) 〃 
 近づけば又遠のける冬の虹 〃 
 枯葉道踏めば声あり言葉あり 〃 
 山眠る裾に獣園賑はひし 〃 
 いくすぢも襞寄せ合ふて山眠る 〃 

 

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黒姫抄
       
 身に沁むや天帝何の怒りとも吉田長久 
 冷まじき嶽の噴煙戦慄ける奥原 修 
 祈る他なきかな冬の御嶽山井上ひさ子 
 忽然と秋空失せし火山灰(よな)ぐもり吉田春子 
 せめてもの鎮魂裾野に紅葉燃ゆ稲沢礼子 
 噴く嶽を鎮め給へよ月天心古畑泰絵 
 追悼の手合はす峠紅葉濃し黒森敦子 
 霊峰に目覚めしマグマ秋暗む大家惟男 
 身に沁むや早朝のヘリ今朝もまた小林陽子 
 秋早朝救助へと子を発たしたり佐野 明 
 噴煙の鎮まらぬ日や蕪洗ふ岩原和子 
 御嶽の空に鎮魂秋夕焼堀田芙美子 
 御嶽へ向きて黙祷野菊揺る堀川悦子 
 身に沁むや信仰の山無常なり奥原昭子 
 御嶽に帰らぬみたま秋の風奥谷茂由 
 嗚呼罹災屈する勿れ木曽の秋堤 ロ雲 

 

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博塵集 白塵集
       
 身に沁むや天帝何のいかりとも吉田長久 
 月影の十夜和讃に心しむ菅原あや子 
 冷まじき嶽の噴煙戦慄ける奥原 修 
 祈るほかなきかな冬の御嶽山井上ひさ子 
 忽然と秋空失せし火山灰ぐもり吉田春子 
 ことさらに空の青さよ小鳥来る増田 正 
 せめてもの鎮魂裾野に紅葉燃ゆ稲沢礼子 
 噴く嶽を鎮め給へよ月天心古畑泰絵 
 秋日濃し流るるものの皆眩し高橋多美子 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 追悼の手合わす峠紅葉濃し黒森敦子 
 霊峰に目覚めしマグマ秋暗む大家惟男 
 身に沁むや早朝のヘリ今朝もまた小林陽子 
 秋早朝救助へと子を発たしたり佐野 明 
 噴煙の鎮まらぬ日や蕪洗ふ岩原和子 
 噴く嶽の扨も驚し九月尽長瀬 毅 
 御嶽の空に鎮魂秋夕焼堀田芙美子 
 御嶽へ向きて黙祷野菊揺る堀川悦子 
 身に沁むや信仰の山無常なり奥原昭子 
 御嶽に帰らぬみたま秋の風奥谷茂由 
 嗚呼罹災屈する勿れ木曽の秋堤 ロ雲