2015/5 No.409

 

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師の作品を学ぶ
       
 山桜あさくせはしく女の鍬
  草田男(句集「銀河依然」昭和二十五年作)
 花にまだ幾夜は湖と寒く寝る
  幻 魚(黒姫五十三号昭和二十五年作)
 山桜塗師も木地師も一徹に
  紫 晃(句集「雪解光」平成二年作)

昭和二十五年四月二十九日、草田男師は幻魚師の招きで黒姫俳句大会に臨むために長野を訪れた。その時に、野尻湖周辺で作られた作品の中の一句。草田男師を選者に迎えた俳句大会記は黒姫五十三号に詳細に掲載されてる。宮脇白夜氏はこの句の紹介文の中で、師の句作姿勢について、「もっぱら独りで句作に専念し、対象に一対一で向かい、そこで触発されたものを機会詩として尊重した」と述べてる。更にこの句の「あさくせはしく」が出色で、余り多くない吟行における秀吟と記してる。

幻魚師の句も五十三号掲載の十句中の一句。まだ花の開花してない湖畔での宿泊時の作品。草田男師と同伴時のものかは不明。動的な草田男句とは対照的に静的な句である。

紫晃師の句は、木曽谷の山桜と匠に思いを寄せた句である。木曽漆器は二百年の伝統が受継がれた工芸品で現在も匠の技が大切に守られてる。同じ山桜でも山中での出合いと、湖辺の出合いでは印象が異なる。それが自ずと句材に現われて、紫晃句には篤実な木曾人の姿が彷彿とする。

(北童記)
 

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雛飾り
       
 教会の尖塔の影余寒なほ神田北童 
 城濠の余寒まさぐる鯉の口 〃 
 ひとときの縁の如き春の雪 〃 
 春愁や一声鳴ける夜の孔雀 〃 
 春愁の潜む欄間絵雅叙園 〃 
 京雛のうりざね顔に威も張りぬ 〃 
 粧ひし男雛の頬に灯の滑る 〃 
 口元のほほゑみ妖し享保雛 〃 
 式部雛瞑る眼の灯を仰ぐ 〃 
 山羊の鳴くパノラマ獣舎春迎ふ 〃 
 春眠の山羊のあごひげ朝日受く 〃 
 のどけしや飛行機雲のほどけゆく 〃 

 

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黒姫抄
       
あらあらと野を行く風も春一番中宮寺立夫
啄みの影すばしこし春隣奥原 修
天上の瑠璃が地に降るいぬふぐり井上ひさ子
薄氷にひそと残りぬ水の息吉田春子
春雷やふと甦る師の一語森泉 透
木の国の木立かがやき木の根開く増田 正
風光る絵馬に願ひの女文字高橋多美子
春の雪ダム湖に一艇眠らせて黒森敦子
頬杖に頼る老樹や梅ひらく梅本香折
御嶽の先ずは小康厩出し長瀬吉毅
用水路暗渠に滾る春の水堀田芙美子
野良猫の来ねば気になる春吹雪田中君枝
観音の御手に溶け初む春の雪山瀬やす子
冬の星瓦礫の山のはすかひに吉田裕子
雛の町門のみ残る御本陣板山美代子
如月や平和の俳句書きうつす松下米子

 

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博塵集 白塵集
       
あらあらと野を行く風も春一番中宮寺立夫
啄みの影すばしこし春隣奥原 修
天上の瑠璃が地に降るいぬふぐり井上ひさ子
薄氷にひそと残りぬ水の息吉田春子
春雷やふと甦る師の一語森泉 透
木の国の木立かがやき木の根開く増田 正
鳶の輪や真下の雑木木の根開く稲沢礼子
梅東風や学業絵馬の濃ゆき文字長峯寿子
風光る絵馬に願ひの女文字高橋多美子

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
春の雪ダム湖に一艇眠らせて黒森敦子
朧夜のダム満面のしじまかな大家惟男
頬杖に頼る老樹や梅ひらく梅本香折
御嶽の先ずは小康厩出し長瀬吉毅
朝霞押し上げてをる峡の嶺々宝田静子
用水路暗渠に滾る春の水堀田芙美子
野良猫の来ねば気になる春吹雪田中君枝
観音の御手に溶け初む春の雪山瀬やす子
冬の星瓦礫の山のはすかひに吉田裕子
雛の町門のみ残る御本陣板山美代子
如月や平和の俳句書きうつす松下米子