2015/9 No.411

 

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師の作品を学ぶ
       
 妻二タ夜(ふたよ)あらず二タ夜(ふたよ)の天の川
  草田男(句集「火の鳥」昭和十二年作)
 銀漢夜々破屋の主権堂つ児
  幻 魚(「黒姫一三六号」昭和三十八年作)
 沈々と霊峰目線に銀河の尾
  紫 晃(「黒姫二五○号」昭和六十三年作)

七夕伝説で知られる天の川を、三人の師はどの様な思いで見上げたかを、私なりに連想した。草田男師の句は、どの歳時記にも掲出されてる余りにも有名な句。改めて、解説は不要と思うが、宮脇白夜氏「妻恋いの句であり、そこには濃密な人間同士の心の交流がある。」山本健吉氏「天の川は妻のアリバイであり、彼の不安定感のシンボル」の評に共感。結婚初期の妻への想いを、宇宙の神聖なる恒星群に重ねた発想に、敬服するのみである。

幻魚師の句については、幻魚追悼号に紫晃師が「権堂の奇人」として寄せた一文が物語る。長野市権堂町の只中に居を構え、天衣無縫・直情径行でありながら、涙脆く神経細やかで人情に篤い人柄を彷彿とさせる句。酒盃を傾けつつ銀漢を仰ぐ姿が浮かぶ。私の思い出は、幻魚愛弟子の木鉢郎氏が、繁華街には不釣合いな破屋の厠を修繕していたこと。

紫晃師の句は、二五○号に掲載した特別作品「六根清浄」二十八句中の一句。この時、師は御嶽登頂を果たし、満天の星を被り小屋泊された。その時の感動の一句。「沈々」の措辞が御嶽爆発後の現在、現実感を持ち迫り来る。

(北童記)
 

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池口寺吟行
       
 句友集ふ朝の紫陽花藍溢れ神田北童 
 目鼻立つ石地蔵撫づ植田風 〃 
 夏きざす淀みの深き上の沢 〃 
 若葉光落書ざわめく薬師堂 〃 
 先人の落書に見入る堂薄暑 〃 
 若葉風水琴窟の音育つ 〃 
 峪蔽ふ若葉の称ふ薬師堂 〃 
 寺僧説く檜材の謂れ薄暑光 〃 
 仏縁に一歩近づく首夏の堂 〃 
 緑風に千体地蔵ひそひそと 〃 
 句座果てて涼万感の峡の駅 〃 
 岳へ向く一蓮塔の影涼し 〃 

 

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黒姫抄
       
朝凪や水平線に巨船置く菅原あや子
灯台の光芒青し走り梅雨浅野竹廣
回向柱の墨痕に染む首夏の雨長田五月
明易の気はみづみづし深く吸ふ野口 久
炎昼の舗道せかせか黒毛虫青木増江
捩り花少女のやうな色が好き半坂峰子
水琴窟心音めきて音涼し堀川悦子
夏祭想ひを馳せるイヤリング奥原昭子
梅雨冷えや轆轤刃造り鍛冶の音奥谷茂由
白き葉を揺らしまたたび誰誘ふ櫻井半吉
葬列の雨に明るき合歓の花徳久芳拙
道問へば訛やさしき日の盛り長崎蕗
年少の児ら打つ太鼓園の秋塩野入靖夫
浴衣着る若き力士に町沸けり長岡春美
荒々し神輿まくりに沸きに沸く古谷みつ子
夏芝居キンカン塗りて演じをり伊藤智之

 

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博塵集 白塵集
       
朝凪や水平線に巨船置く菅原あや子
灯台の光芒青し走り梅雨浅野竹廣
青葡萄一粒ごとに日のひかり村田 守
回向柱の墨痕に染む首夏の雨長田五月

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
明易の気はみづみづし深く吸ふ野口 久
炎昼の舗道せかせか黒毛虫青木増江
花石榴子らきそひける遊び歌神田三布縷
緑陰を吹き抜ける風狛の口上坂とし子
捩り花少女のやうな色が好き半坂峰子
緑陰の手作り椅子にほつとせり岩原和子
水琴窟心音めきて音涼し堀川悦子
夏祭想ひを馳せるイヤリング奥原昭子
梅雨冷えや轆轤刃造り鍛冶の音奥谷茂由
白き葉を揺らしまたたび誰誘ふ櫻井半吉
葬列の雨に明るき合歓の花徳久芳拙
道問へば訛やさしき日の盛り長崎 蕗
年少の児ら打つ太鼓園の秋塩野入靖夫
浴衣着る若き力士に町沸けり長岡春美
荒々し神輿まくりに沸きに沸く古谷みつ子
夏芝居キンカン塗りて演じをり伊藤智之