2016/01 No.413

 

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師の作品を学ぶ
       
 冬空をいま青く塗る畫家羨(とも)し
  草田男(句集「長子」昭和十年作)
 隔て無き一と日の一座寒椿
  幻 魚(「黒姫誌」百九十二号 昭和五十四年作)
 どつぷりと独り寒湯に未完の詩
  紫 晃(「黒姫誌」二百十六号 昭和五十八年作)

草田男句での「畫家羨し」の解釈を、師から主宰を受け継いだ香西照雄氏は「日々の心は冬曇りのように冷たく暗い草田男は、曇天をブルーに変えて塗る画家へのいたたまれない羨望の念に駆られた」と分析してる。当時三十四歳、心の暗い影は何だったのだろうか。忍び寄る戦争への危惧か。(後日、師は当時を一個の憂国者と回顧してる。)この様な心理状態の時、キヤンバスにブルーを塗る画家に出逢ったのである。「いま青く塗る」に師の心の叫びがあると感じた。

幻魚句は、句座か茶席か解らないが連衆の催しの風景である。あくまでも分け隔て無い平座の心で絆を結び会う師弟風景が浮かぶ。寒椿がその絆を支え、天空には紺青の空が広がっていると想定した。同時掲載句に「冬晴の躬は碌々の老いの歩々」がつづく。

紫晃句は寒中の湯にどっぷりと浸り、句作りの思索を練る自画像である。俳句作りはいくら推敲を重ねても、納得ゆく作品は なかなか生れない。未完の詩のまま我が手を離れる。だからこそ、「作品は生み続けなければならない」と草田男師の示唆が聞えてくる様だ。そして「未完の詩」は紫晃師の人生観ともとれる蘊蓄ある言葉と私は受け止めた。

(北童記)
 

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黒姫山へ臨む
       
 黒姫山(くろひめ)の東稜に伸ぶ豊の秋神田北童 
 くろひめの懐深くもみづるや 〃 
 山霊の声いざなへる紅葉風 〃 
 稜線の伸びきる果の秋かすみ 〃 
 出くはせる蝗虫(ばった)動ぜず髭振ふ 〃 
 童話館小窓に燦と紅葉映ゆ 〃 
 小鳥来る天界の友来たりしや 〃 
 黒姫山に抱かれ秋の虹小さく 〃 
 山肌に沁むる紅葉の耿々と 〃 
 芒原ひともとごとの命揺れ 〃 
 誰が声ぞそよぐ芒に振りかへる 〃 
 黒姫山へ無心に真向き秋更くる 〃 

 

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黒姫抄
       
冬夕焼桧山楢山鎮めをり吉田長久
妻と来てこの郷愁の野紺菊奥原 修
立冬の御焦げたつぷり五目飯井上ひさ子
晩秋や本を抜け出すハイネの詩吉田春子
共に老い庭に秋蝶黄を点す森泉 透
秋清し祈りの日々を胸に秘め高橋多美子
秋天や飛行機雲のゆるびなく小林陽子
眼白来て平和な暮ししみじみと大家惟男
荼毘の地と知らず奏でり草雲雀梅本香折
虫の声聞きて一句に吾が想ひ小山まさ志
逆さ吊りされて真つ赤に唐辛子牛山徳冶郎
呼び鈴は国税調査小鳥来る宮尾静子
けふ傘寿己に挙ぐる菊の酒今村芳巨
身を反らし干芋乾く佳き日和山瀬やす子
赤き花哀し名を持つ捨子花野原文子
花桶に活けてやすらふ薄かな藤澤恵美子
野地蔵へ紅葉ひとひら参りたる勝山千代枝

 

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博塵集 白塵集
       
冬夕焼桧山楢山鎮めをり吉田長久
妻と来てこの郷愁の野紺菊奥原 修
立冬の御焦げたつぷり五目飯井上ひさ子
晩秋や本を抜け出すハイネの詩吉田春子
共に老い庭に秋蝶黄を点す森泉 透
秋清し祈りの日々を胸に秘め高橋多美子

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
秋天や飛行機雲のゆるびなく小林陽子
眼白来て平和な暮ししみじみと大家惟男
荼毘の地と知らず奏でり草雲雀梅本香折
虫の声聞きて一句に吾が想ひ小山まさ志
逆さ吊りされて真つ赤に唐辛子牛山徳冶郎
呼び鈴は国税調査小鳥来る宮尾静子
けふ傘寿己に挙ぐる菊の酒今村芳巨
身を反らし干芋乾く佳き日和山瀬やす子
赤き花哀し名を持つ捨子花野原文子
花桶に活けてやすらふ薄かな藤澤恵美子
野地蔵へ紅葉ひとひら参りたる勝山千代枝