2016/11 No.418

 

先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ

師の作品を学ぶ
       
 冬の祈(いのり)人黙(もだ)し魚(うお)口うごく
  草田男(昭和四十七年作)
 地の黙の草のみ勁(つよ)し霜来る
  幻 魚(昭和二十四年作)
 幻魚顕(あ)れよ佛都一望冬がすみ
  紫 晃(平成十二年作)

今号は「祈りの声」の句を三師の作品から抜粋した。人間探求派と呼ばれた草田男師は、常に求道者としての道を歩み、八十二才で亡くなる際、洗礼を受けカトリック信徒になった。句は晩年七十二才時点。「様々な疑心・反撥・抵抗を経て新たな祈りの心に到達した草田男は、自分自身の大きな声に頼らず祈りを持たない魚達が口を動かし祈る様なしぐさをする方に、眼をむけたのである。」と宮脇白夜氏は此の句を解説。私は此の句を心の底で深く祈る象徴として魚の口を描写したのだと解釈した。その背景に新約聖書「ローマ人への手紙」第八章「どんな被造物でも、主イエスにおける神の愛から、引き離すことはできない」の言葉が生きてる。

幻魚師の句は黒姫創刊三年後、その行方に期待と不安を抱き邁進してる時の作品。初冬の大地に生える勁健な雑草の生きざまを見て、創刊誌の将来へ祈る様な気持を込めた句だ。霜の到来に尚一層、心を引きしめる幻魚師の表情が浮かぶ。

紫晃師の句は、幻魚忌(十一月三十日)を迎えて、長野市歌ケ丘の幻魚句碑の前で、後方の長野市街地を展望した時の作品(幻魚没後十一年経過)師への祈りには変わらぬ親愛の情が滲む。

(北童記)
 

先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ

秋迎ふ
       
 この旅の標となさむ天の川神田北童 
 光陰の影引く天の川遥か 〃 
 松籟の空より湧きてさやけしや 〃 
 桐一葉地に伏す影の大きさよ 〃 
 桐一葉紺青の空どこまでも 〃 
 時期するかに墓の辺の曼珠沙華 〃 
 きざはしの廟へ直なり秋澄める 〃 
 秋空へメタセコイヤの耿(こう)然(ぜん)と 〃 
 拾ひたる栃の実鮮(あざ)と湿りをり 〃 
 岳遥か稲穂の道をふりかえる 〃 
 枝豆をつまみ話の輪を広ぐ 〃 
 句友逝き肩にきしめく秋しぐれ 〃 

 

先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ

黒姫抄
       
弾みゐし空を静めて燕去る三浦真佐子
遠尾根の著き起伏や秋澄めり村田 守
枯ひまわり野武士のごとき立姿長峯寿子
夜半の秋厩舎の馬にそつと触る稲沢礼子
一茎のひまわりの自負天を指す青木増江
木曽殿と言の葉交す虫の声長瀬吉毅
秋雨に宛名滲みし封を切る脇田 警
山小屋のランプ大蛾の慕ひ寄る神田三布縷
野に還る工場跡や吾亦紅宝田静子
達筆な文字爽やかに句友逝く半坂峰子
竹の春風を湛へる闇ありぬ徳久芳拙
夕風に一人遊びの猫じやらし奥原昭子
七七日過ぎて咲き継ぐ百日紅本多紀男
向ひ合ひブランコ漕ぐ子空高し櫻井半吉
心いま遠きにありて草むしるせきのとし
ひまわりに見下されたる車椅子吉田裕子
靴下の猫の絵動く星月夜松本千代美
県下一小さき村や天の川櫻井 保

 

先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ

博塵集 白塵集
       
弾みゐし空を静めて燕去る三浦真佐子
遠尾根の著き起伏や秋澄めり村田 守
枯ひまわり野武士のごとき立姿長峯寿子
夜半の秋厩舎の馬にそつと触る稲沢礼子

 

先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ

机塵集 清塵集(同人・会員)
       
一茎のひまわりの自負天を指す青木増江
木曽殿と言の葉交す虫の声長瀬吉毅
秋雨に宛名滲みし封を切る脇田 警
山小屋のランプ大蛾の慕ひ寄る神田三布縷
野に還る工場跡や吾亦紅宝田静子
達筆な文字爽やかに句友逝く半坂峰子
竹の春風を湛へる闇ありぬ徳久芳拙
夕風に一人遊びの猫じやらし奥原昭子
七七日過ぎて咲き継ぐ百日紅本多紀男
向ひ合ひブランコ漕ぐ子空高し櫻井半吉
心いま遠きにありて草むしるせきのとし
ひまわりに見下されたる車椅子吉田裕子
靴下の猫の絵動く星月夜松本千代美
県下一小さき村や天の川櫻井 保