2017/03 No.420

 

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師の作品を学ぶ
       
 ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道
  草田男(昭和十一年・句集「長子」)
 朴荒芽鐘荒く鳴る風の中
  幻 魚(昭和四十年・「黒姫誌」百四十一号)
 急坂は墳へ近径芽山椒
  紫 晃(平成元年・「黒姫誌」二百五十三号)

信州の春は遅い。立春が過ぎても冴え返る日が続く。しかし、確実に春は近付いてる。その兆しは木々の芽吹きを観察してると一番よく解る。少しずつ色と形が変化し、春の営みの第一歩が感じとれる。この木々の芽吹きを捉えた三師の句を集めた。 草田男句は第一句集「長子」(春)の中の一句。句作を始めた三十代前半の作品で、清新さと素直さが心に響いてくる句。「ひたむきに走る犬の愚直な姿に親しみをおぼえた」と自解してる作品である。

幻魚句は、師が五十七才の時に上田別所温泉へ吟行した際の一句。この地には古くからの名刹四箇所と北向観音があり、その名刹の鐘声が春疾風に乗り、朴の木の未だ荒い芽を大きく揺すっている状景である。同掲の句に、「梅赤し固し二刹へめぐる道」があり、木の芽道を辿る姿が浮かぶ。

紫晃句は松本市・国史跡指定の弘法山古墳への吟行句。この古墳は松本市南西部・弘法山(標高650m)上にある全長六十六メートル前方後円墳。師は六十四才(主宰就任十年目)となり、結社も興隆期を迎えて、その気慨の活き活きした息吹きを感じる句だ。

(北童記)
 

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初 詣
       
 雲間より大悲の日差す大旦神田北童 
 初明り見上げ靴紐締め直す 〃 
 朝刊の重み受け取る大旦 〃 
 あら玉や弥陀の鼻梁にかげりなし 〃 
 玉眼の見詰むざわめき初詣 〃 
 瓔珞に淑気うごめく千手佛 〃 
 観音の千眼(せんげん)見据う年新た 〃 
 初詣べんがら地蔵にこやかに 〃 
 肩に触る福笹の音ここちよし 〃 
 人波に紛るる祈り初薬師 〃 
 悠然と一声で去る初烏 〃 
 幼から畏まりたる初電話 〃 

 

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黒姫抄
       
 恙なく五勺に酔うて初謡吉田長久 
 生の緒と赤き表紙の日記買ふ川原澄子 
 初鶏の声高らかにとよもせり浅野竹廣 
 酉年へ望みふつふつ初日の出古坂 房 
 宿坊の朱門鎮まり石蕗の花長田五月 
 読初の胸を打たるる「おらが春」野口 久 
 日矢抜ける尾根より覗きゐる初日佐野 明 
 児の綯ひて無骨なままの注連飾り小林陽子 
 仏にも供ふ雑炊かがやける田中 和 
 ありがたき一日師走の空真青堀田芙美子 
 初鏡母似と言はれしみじみと田中君枝 
 「夢」の字の大書の前に鏡餅高野東山 
 とりどりの福いただきし年賀状中田稔子 
 夫の倍生かされて聞く除夜の鐘松下米子 
 兎も角も門松立ててめでたけれ島田賢一郎 
 うつし世で行き合ふ妙や帰り花新島俊哉 
 新年の願ひ一燦大わらじ伊藤智之 
 お日様は佛の膝に冬至かな勝山千代枝 

 

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博塵集 白塵集
       
 恙なく五勺に酔うて初謡吉田長久 
 生の緒と赤き表紙の日記買ふ川原澄子 
 初鶏の声高らかにとよもせり浅野竹廣 
 酉年へ望みふつふつ初日の出古坂 房 
 宿坊の朱門鎮まり石蕗の花長田五月 
 読初の胸を打たるる「おらが春」野口 久 
 日矢抜ける尾根より覗きゐる初日佐野 明 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 児の綯ひて無骨なままの注連飾り小林陽子 
 仏にも供ふ雑炊かがやける田中 和 
 ありがたき一日師走の空真青堀田芙美子 
 初鏡母似と言はれしみじみと田中君枝 
 「夢」の字の大書の前に鏡餅高野東山 
 とりどりの福いただきし年賀状中田稔子 
 夫の倍生かされて聞く除夜の鐘松下米子 
 兎も角も門松立ててめでたけれ島田賢一郎 
 うつし世で行き合ふ妙や帰り花新島俊哉 
 新年の願ひ一燦大わらじ伊藤智之 
 お日様は佛の膝に冬至かな勝山千代枝