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| ひた急ぐ犬に会ひけり木の芽道 | |||
| 草田男(昭和十一年・句集「長子」) | |||
| 朴荒芽鐘荒く鳴る風の中 | |||
| 幻 魚(昭和四十年・「黒姫誌」百四十一号) | |||
| 急坂は墳へ近径芽山椒 | |||
| 紫 晃(平成元年・「黒姫誌」二百五十三号) | |||
信州の春は遅い。立春が過ぎても冴え返る日が続く。しかし、確実に春は近付いてる。その兆しは木々の芽吹きを観察してると一番よく解る。少しずつ色と形が変化し、春の営みの第一歩が感じとれる。この木々の芽吹きを捉えた三師の句を集めた。 草田男句は第一句集「長子」(春)の中の一句。句作を始めた三十代前半の作品で、清新さと素直さが心に響いてくる句。「ひたむきに走る犬の愚直な姿に親しみをおぼえた」と自解してる作品である。
幻魚句は、師が五十七才の時に上田別所温泉へ吟行した際の一句。この地には古くからの名刹四箇所と北向観音があり、その名刹の鐘声が春疾風に乗り、朴の木の未だ荒い芽を大きく揺すっている状景である。同掲の句に、「梅赤し固し二刹へめぐる道」があり、木の芽道を辿る姿が浮かぶ。
紫晃句は松本市・国史跡指定の弘法山古墳への吟行句。この古墳は松本市南西部・弘法山(標高650m)上にある全長六十六メートル前方後円墳。師は六十四才(主宰就任十年目)となり、結社も興隆期を迎えて、その気慨の活き活きした息吹きを感じる句だ。
(北童記)
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| 雲間より大悲の日差す大旦 | 神田北童 | ||
| 初明り見上げ靴紐締め直す | 〃 | ||
| 朝刊の重み受け取る大旦 | 〃 | ||
| あら玉や弥陀の鼻梁にかげりなし | 〃 | ||
| 玉眼の見詰むざわめき初詣 | 〃 | ||
| 瓔珞に淑気うごめく千手佛 | 〃 | ||
| 観音の千眼(せんげん)見据う年新た | 〃 | ||
| 初詣べんがら地蔵にこやかに | 〃 | ||
| 肩に触る福笹の音ここちよし | 〃 | ||
| 人波に紛るる祈り初薬師 | 〃 | ||
| 悠然と一声で去る初烏 | 〃 | ||
| 幼から畏まりたる初電話 | 〃 |
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| 恙なく五勺に酔うて初謡 | 吉田長久 | ||
| 生の緒と赤き表紙の日記買ふ | 川原澄子 | ||
| 初鶏の声高らかにとよもせり | 浅野竹廣 | ||
| 酉年へ望みふつふつ初日の出 | 古坂 房 | ||
| 宿坊の朱門鎮まり石蕗の花 | 長田五月 | ||
| 読初の胸を打たるる「おらが春」 | 野口 久 | ||
| 日矢抜ける尾根より覗きゐる初日 | 佐野 明 | ||
| 児の綯ひて無骨なままの注連飾り | 小林陽子 | ||
| 仏にも供ふ雑炊かがやける | 田中 和 | ||
| ありがたき一日師走の空真青 | 堀田芙美子 | ||
| 初鏡母似と言はれしみじみと | 田中君枝 | ||
| 「夢」の字の大書の前に鏡餅 | 高野東山 | ||
| とりどりの福いただきし年賀状 | 中田稔子 | ||
| 夫の倍生かされて聞く除夜の鐘 | 松下米子 | ||
| 兎も角も門松立ててめでたけれ | 島田賢一郎 | ||
| うつし世で行き合ふ妙や帰り花 | 新島俊哉 | ||
| 新年の願ひ一燦大わらじ | 伊藤智之 | ||
| お日様は佛の膝に冬至かな | 勝山千代枝 |
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| 恙なく五勺に酔うて初謡 | 吉田長久 | ||
| 生の緒と赤き表紙の日記買ふ | 川原澄子 | ||
| 初鶏の声高らかにとよもせり | 浅野竹廣 | ||
| 酉年へ望みふつふつ初日の出 | 古坂 房 | ||
| 宿坊の朱門鎮まり石蕗の花 | 長田五月 | ||
| 読初の胸を打たるる「おらが春」 | 野口 久 | ||
| 日矢抜ける尾根より覗きゐる初日 | 佐野 明 |
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| 児の綯ひて無骨なままの注連飾り | 小林陽子 | ||
| 仏にも供ふ雑炊かがやける | 田中 和 | ||
| ありがたき一日師走の空真青 | 堀田芙美子 | ||
| 初鏡母似と言はれしみじみと | 田中君枝 | ||
| 「夢」の字の大書の前に鏡餅 | 高野東山 | ||
| とりどりの福いただきし年賀状 | 中田稔子 | ||
| 夫の倍生かされて聞く除夜の鐘 | 松下米子 | ||
| 兎も角も門松立ててめでたけれ | 島田賢一郎 | ||
| うつし世で行き合ふ妙や帰り花 | 新島俊哉 | ||
| 新年の願ひ一燦大わらじ | 伊藤智之 | ||
| お日様は佛の膝に冬至かな | 勝山千代枝 |
