2017/11 No.424

 

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師の作品を学ぶ
       
 あたゝかき十一月もすみにけり
  草田男(句集「長子」昭和十一年十一月刊)
 昨日降り今日晴れ初冬雲白し
  幻 魚(句集「幻魚」昭和五十三年作)
 霜月の白き満月夕散歩
  紫 晃(黒姫三四一号平成十六年作)

句集「長子」は草田男師三十五才の時刊行。師は三才の時、四国松山へ移住して旧制松山中学、松山高校卒業、東大独文科に入学。四国の風土には幼い時から馴染んでいるので、この句には四国の季節感が浸透している。句集の跋には「自然の啓示に親近する」と俳句に向き合う姿勢が記されいてるが、四国の十一月は冬では無くて秋であるのが通説でこれから四国の冬が始まる。奇しくも句集刊行も十一月。

幻魚句の十一月は、四国とうって変り、時雨・霙の日々の信濃の景。幻魚師が急逝する一年前の作品。「会者定離一夢と申せ帰り花」「絶唱は口づさむもの春浅し」「成らざりし夢いくつかな桜ン坊」「人はみな一会の夢の秋ともし」と辞世を予感する様な句が続く。

紫光句は黒姫誌三四一号掲載、「霜月満月」の題詠七句の中の一つ。十一月の宵の散歩で出逢った満月の状景句。師の言葉に「詩業とは人と人との、人と自然の、人と物との出合いの累積である。ささやかな出合いでも大切にしたいもの、大きく心を捉えたそれは決して離さないことである。」がある。紫晃師は、この一年前に難病治療のためのオペを行っており、この句は治療、療養中での作品。夕散歩に出合った白き満月を仰ぐ師の心情には、この言葉が確と活きている。

(北童記)
 

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秋の声
       
 天の川現(あ)れよ何処に逝きし友神田北童 
 秋蝉の声衰へず尽きにけり 〃 
 新涼をいざなふ古墳群広ぐ 〃 
 石室の闇に貼りつくちちろむし 〃 
 いなびかり一瞬怯む仁王像 〃 
 空高し聖観音の道しるべ 〃 
 赤地蔵背に侍らす白木槿 〃 
 いぶかしむ蝗の貌をつまみけり 〃 
 乱れ咲く野の萩でこそゆゆしけり 〃 
 心耳にも響いて止まぬつづれさせ 〃 
 篁(たかむら)の奥に潜みし秋日影 〃 
 野に響くミサイルの報秋の冷え 〃 

 

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黒姫抄
       
 ぐんぐんと雲かぶさり来大花野三浦真佐子 
 月影や古城にこもる鬨のこゑ村田 守 
 山の辺に夕蜩の勢ひつぐ長峯寿子 
 祭果て余韻の中に友逝けり稲沢礼子 
 岩転ぶ流れに火花秋出水佐野 明 
 水船に秋冷ひそと須原宿長瀬吉毅 
 落日や俄に谷の蝉しぐれ上坂とし子 
 待ち人の遅刻許さう涼新た岩原和子 
 鳳仙花はじけて遠へ行きたからう吉村郁子 
 切り株の乾く狭庭に秋の蝶山瀬やす子 
 秋色は碧き空のみ大砂漠今村芳巨 
 霧ヶ峰金波銀波の芒原今井絹江 
 一鍬の土の硬さに秋思ふと川野晶功 
 田を渡る風の重しや稲穂揺る櫻井半吉 
 みずみずしぷくりぷくりと茗荷の子宮下陽子 
 風の向き変はる初秋の厨口長崎 蕗 
 孑孑の小さき世界浮き沈む徳原キヨ子 
 地に影をうつして蜻蛉寺の道松下米子 

 

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博塵集 白塵集
       
 ぐんぐんと雲かぶさり来大花野三浦真佐子 
 月影や古城にこもる鬨のこゑ村田 守 
 山の辺に夕蜩の勢ひつぐ長峯寿子 
 祭果て余韻の中に友逝けり稲沢礼子 
 岩転ぶ流れに火花秋出水佐野 明 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 水船に秋冷ひそと須原宿長瀬吉毅 
 落日や俄に谷の蝉しぐれ上坂とし子 
 待ち人の遅刻許さう涼新た岩原和子 
 鳳仙花はじけて遠へ行きたからう吉村郁子 
 切り株の乾く狭庭に秋の蝶山瀬やす子 
 秋色は碧き空のみ大砂漠今村芳巨 
 霧ヶ峰金波銀波の芒原今井絹江 
 一鍬の土の硬さに秋思ふと川野晶功 
 田を渡る風の重しや稲穂揺る櫻井半吉 
 みずみずしぷくりぷくりと茗荷の子宮下陽子 
 風の向き変はる初秋の厨口長崎 蕗 
 孑孑の小さき世界浮き沈む徳原キヨ子 
 地に影をうつして蜻蛉寺の道松下米子