2018/01 No.425

 

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師の作品を学ぶ
       
 直面一瞬「ゆるし給はれ」冬日の顔々
  草田男(句集「銀河依然」昭和二十五年作)
 無為もよし読み書き放下(ほうげ)枯木凪
  幻 魚(黒姫一九二号昭和五十四年作)
 行方より来し方はろか七日粥
  紫 晃(黒姫三五四号平成十八年作)

今号は年頭にあたり、三師の生き方に思いを馳せて、句集・俳誌を繙いた。  草田男句は高松港外の大島にある癩(らい)園(えん)での句会作品、群作中の第一句。同行の香西照雄氏の言葉によると、「ゆるし給はれ」は、心中の独語だが、「目をそらす」といった見くだし同情の立場からではなく「健康にあまなひて」といった自分の健康そのものが罪悪であるかのような気持から発せられた叫びで、病者に許しを乞うているのでない。 己の生きる幸せを、病者に対して健康に甘んじる罪の意識と考える草田男師のヒューマニズムの深さには敬服の一語である。(下句の字余りが六音以内という作者の鉄則を破った唯一の句と知る。)

幻魚句は黒姫一九二号巻頭、十七句中の第一句。師は既に病魔に苛まれてをり、半年後に逝去。そして師は、この時、此の句の様な無為、放下の心境で、まさに、なすままの自然法(じねんほう)爾(に)の人であったのだとは、此の句を繙く迄気付かなかった。

紫晃句は「初日記」と題した三五四号巻頭七句中のひとつ。最晩年の句で師も持病を背負い乍らの句作生活であった。謹厳実直な師は三年日記を継続記録していた。師の来し方には、草田男と幻魚から真摯に学んだ道が延々と連なっているのであろうか。継続を力として脚下照顧する師の誠実な人生に思いを馳せた。

(北童記)
 

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冬の水
       
 碧空へ色深めゆく富有柿神田北童 
 真向かへば懸崖菊の満ち満ちて 〃 
 秋の暮友よ別れの杯を乾せ 〃 
 顕彰碑紅葉明かりの奥に座し 〃 
 燃え尽きる満天星もみぢ落暉いま 〃 
 朝寒や灯をひそと守る文殊堂 〃 
 小春日へぴんころ地蔵首かしぐ 〃 
 大浅間裾引く先の冬田原 〃 
 吾が思惟の山河を辿る冬浅し 〃 
 街師走車列の尾灯延々と 〃 
 学舎(まなびや)の終業チャイム冬ざるる 〃 
 堰落つる存念の音冬の水 〃 

 

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黒姫抄
       
 農閉づと田にも塚へも秋思告ぐ奥原 修 
 「祷り」てふオブジェ拝めり文化の日井上ひさ子 
 常念岳を掴みて霧の奔りけり吉田春子 
 山粧ふ妻籠を訪うて終電車大家惟男 
 唐松の黄葉尽し針こぼす青木増江 
 秋暮るる言の葉は今胸の内小山まさ志 
 蔦紅葉一縷に登る石の壁神田三布縷 
 落日や鵙は高木に声を研ぐ徳久芳拙 
 神仏をたのまず生きて牛蒡引く本多紀男 
 新米を供へ亡夫に声を掛く半坂峰子 
 名月や研ぎ澄まされし夜の黙奥原昭子 
 ねんごろに案山子を棚に休ませり宮尾静子 
 月の出を二合の酒で待つ余生茅野裕彦 
 川霧の這ひ谷底の木々を梳く矢嶋ちか子 
 地芝居の台詞の響く良夜かな長岡春美 
 花馬の花に挿したる実むらさき西 絹代 
 楢落葉声を荒げて走りけり武田代栄 
 父の忌の一族老いし紅葉酒櫻井 保 

 

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博塵集 白塵集
       
 農閉づと田にも塚へも秋思告ぐ奥原 修 
 「祷り」てふオブジェ拝めり文化の日井上ひさ子 
 常念岳を掴みて霧の奔りけり吉田春子 
 山粧ふ妻籠を訪うて終電車大家惟男 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 唐松の黄葉尽し針こぼす青木増江 
 秋暮るる言の葉は今胸の内小山まさ志 
 蔦紅葉一縷に登る石の壁神田三布縷 
 落日や鵙は高木に声を研ぐ徳久芳拙 
 神仏をたのまず生きて牛蒡引く本多紀男 
 新米を供へ亡夫に声を掛く半坂峰子 
 名月や研ぎ澄まされし夜の黙奥原昭子 
 ねんごろに案山子を棚に休ませり宮尾静子 
 月の出を二合の酒で待つ余生茅野裕彦 
 川霧の這ひ谷底の木々を梳く矢嶋ちか子 
 地芝居の台詞の響く良夜かな長岡春美 
 花馬の花に挿したる実むらさき西 絹代 
 楢落葉声を荒げて走りけり武田代栄 
 父の忌の一族老いし紅葉酒櫻井 保