2019/01 No.431

 

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師の作品を学ぶ
       
 若き歯を磨く音(ね)強し松の内
  草田男(萬緑昭和四十三年作)
 木曽馬の木曽に孫持ち干支(えと)は午(うま)
  幻 魚(黒姫百八十六号昭和五十三年作)
 粥を吹く箸で若菜を数えては
  紫 晃(黒姫三百号平成九年作)

草田男句は師が六十七才の時の作品で、ご家族の子女がモデルと言われている。上五の具体的な描写には生命の若さが漲る。師の言葉「作品は生み続けなければならない。此世に、避け得られない死といふものが存在し、抑へ得られない愛といふものが存在するが故に」の様に生命への執着と躍動感を具現している作品と受け止めた。年初の心構えとしたい。

幻魚句は、木曽へ嫁いだ子女にお孫さんがあり、孫の干支が午(うま)で、この年(昭和五十三年)が戊午(つちのえのうま)なので、孫への思いを深くした句。年頭にあたり、木曽馬の地に午年(うま)に生まれた孫に対する、木曽馬・午(う)年(ま)・戊(つちのえ)午(うま)を重ねた祝句であり、祖父としての祈りの句でもある。同時掲載句「来たれ年幸(さち)のせて来よ戊(つちのえ)午(うま)」と家族愛の句が続く。この時年齢は六十十九才、翌年に幻魚師が身罷るとは誰もが想像もしなかった。

紫晃句は黒姫三百号記念の巻頭を飾る句で、主宰として創刊五十年を迎え七十二才で英気漲る時点の作品である。草田男師の句と同様に清新なる若さを季語「若菜」に象徴した新年の句である。紫晃師の謹厳で一途なる心がこの一句に滲んでいると思う。句の箸の先にある若菜こそ草田男師の言葉「抑へ得られない愛」の標なのかもしれない。

(北童記)
 

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冬の足音
       
 磯浪のぶつけ合ひ散る冬隣神田北童 
 冷まじや沖の黒づむ居多ケ浜 〃 
 向き直り迫る波頭や冬隣 〃 
 散りて未だ存念残す冬紅葉 〃 
 語り掛け犬曳く婆や冬日向 〃 
 団地の灯ひとつ又減る日短 〃 
 寄宿舎の夜長を灯す看護校 〃 
 一字(ひとあざ)の火の見櫓に夜寒の灯 〃 
 落葉踏む音を確かめ又踏めり 〃 
 からからと枯葉まろびて無心なり 〃 
 黙揺れて土手に帯なす枯芒 〃 
 冬晴や学舎のチャイム喨喨(りょうりょう)と 〃 
 裸木となる大欅ゆうぜんと 〃 

 

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黒姫抄
       
 露ふたつ葉に結ばれて土となる奥原 修 
 縋るものあれば杖とし冬用意井上ひさ子 
 清秋の光のこぼる数珠鳴れり稲沢礼子 
 落日の光芒寸時冬に入る大家惟男 
 山茶花の八重を止(とど)めず散り敷けり徳久芳拙 
 懸命に起きあがらんと菊残る青木増江 
 芭蕉てふ酒酌み交はす翁の忌小山まさ志 
 利酒の陶(すえ)の白さや新走り本多紀男 
 坂道とつき合ふ暮し野菊咲く半坂峰子 
 秋燈のひとつ明るく夫を待つ奥原昭子 
 木洩れ日や父祖整へしきのこ山吉村郁子 
 今年又枝ごと届く棗の実宮尾静子 
 時雨くる一番寺は笠を売り茅野裕彦 
 花芒風をはらみて束ねらる塚本瑛子 
 まさをなる空閉じ込むる芋の露長岡春美 
 昼の虫一日途切れず鳴きてをり邑上春代 
 月明かり貨物列車の重き音西 絹代 
 隣との土留めに垂るる実むらさき若月 貢 

 

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博塵集 白塵集
       
 露ふたつ葉に結ばれて土となる奥原 修 
 縋るものあれば杖とし冬用意井上ひさ子 
 清秋の光のこぼる数珠鳴れり稲沢礼子 
 落日の光芒寸時冬に入る大家惟男 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 山茶花の八重を止(とど)めず散り敷けり徳久芳拙 
 懸命に起きあがらんと菊残る青木増江 
 芭蕉てふ酒酌み交はす翁の忌小山まさ志 
 利酒の陶(すえ)の白さや新走り本多紀男 
 坂道とつき合ふ暮し野菊咲く半坂峰子 
 秋燈のひとつ明るく夫を待つ奥原昭子 
 木洩れ日や父祖整へしきのこ山吉村郁子 
 今年又枝ごと届く棗の実宮尾静子 
 時雨くる一番寺は笠を売り茅野裕彦 
 花芒風をはらみて束ねらる塚本瑛子 
 まさをなる空閉じ込むる芋の露長岡春美 
 昼の虫一日途切れず鳴きてをり邑上春代 
 月明かり貨物列車の重き音西 絹代 
 隣との土留めに垂るる実むらさき若月 貢