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| 夕桜城の石崖(がけ)裾(すそ)濃(ご)なる | |||
| 草田男(句集「長子」昭和十一年年刊) | |||
| 人歳々花年々す一城頭 | |||
| 幻 魚(黒姫百二十一号昭和三十三年作) | |||
| 眠き子を芝生に置けり初桜 | |||
| 紫 晃(句集「遠汽笛」昭和四十年作) | |||
草田男句については、師の自句自解の一文を引用する。《「郷里松山市の中心地点である城頭(城のほとり)での所詠。生地を懐かしみ青少年時代の回想に佇んでいる身辺に人影は疎らであった。一の丸の石崖は三、四丈の高さに達し頭上を圧している。仰げば二里の彼方の海上から名残を惜しむように夕日が直接反照して、城郭を囲繞する爛漫の桜の全面に映え溢れている。石崖の花崗岩の肌は素白と汚れがなく、裾に到るほど真紫の錆色を濃くしている。(原文のまま)」》この句の下五での裾濃の描写は鎧の《裾濃染》の俤さながらで故郷のものの《生命への遡源》(みなもとにさかのぼること)の心情と師は結んでる。
幻魚句は黒姫百二十一号巻頭「深志城」八句の一つ。深志城とは松本城の別称で江戸初期の築城時の呼称である。松本城の桜花を眺め城頭に立ち城の歴史に思いを馳せた一句である。上五中七は有名な唐詩「白頭を悲しむ翁に代りて」に典拠している。「花に問ふ深志の昔何の秘史」「春や人に夢ぞ深志の城の奥」と句は続く。草田男句と同様に桜と城との取り合わせである。
紫晃句は師の壮年期、三十代後半の作である。国鉄時代の多忙な日々の合間に吾子と過ごすいっときの状景。桜の咲き初める公園の芝生にくつろぐ家族を淡淡と描写し家族愛を象徴した一句である。《「喜怒哀楽の情を自然の物によって触発する、その物が季語であり、自然は俳句の素材ではなく、人間の内面を触発する存在である」》と草田男師が示唆した俳句の原点がこの一句に沈潜している。
(北童記)
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| 姨捨に春燈の綺羅みはるかす | 神田北童 | ||
| 遠富士に掛かる帯雲春寒し | 〃 | ||
| 裏富士の荒き山襞冴返る | 〃 | ||
| 甲斐駒ヶ岳(こま)の嶺々ゆるびなく冴返る | 〃 | ||
| 先ず天へ梅一輪の咲く健気 | 〃 | ||
| 薄氷(うすごおり)陽の囁きにかすか揺る | 〃 | ||
| 屯して穏やかなりき春の鴨 | 〃 | ||
| 細波の譜の寄せくるや水温む | 〃 | ||
| 鳶の輪の一巡をせり春遅々と | 〃 | ||
| 春望やいまだ遠きに兜太の句 | 〃 | ||
| 点る灯の独白のやう春の宵 | 〃 | ||
| 筆塚の「筆」の一字を東風撫づる | 〃 | ||
| 相あふてわかれ連なる雪解川 | 〃 |
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| 根元にも日差し春待つ雑木山 | 三浦真佐子 | ||
| 春耕の畝黒々と未来あり | 吉田春子 | ||
| 春燈のひかりを嬰はつかみとる | 長峯寿子 | ||
| 喰積や三代続く妻の味 | 佐野 明 | ||
| 霜烈な冬満月に言失せり | 長瀬吉毅 | ||
| 凍解けの眩しさ満つる田一枚 | 岩原和子 | ||
| 囀りにはづむ心の色は何 | 上坂とし子 | ||
| ブロンズの馬の蹄に風光る | 宝田静子 | ||
| 校庭は城趾巨木の花の満つ | 今村芳巨 | ||
| 産声を共に待ち侘ぶ福寿草 | 宮下陽子 | ||
| 春霧の峡幾曲がり木曽の朝 | 堀田芙美子 | ||
| 開け閉めの度にさ揺るる吊し雛 | 山瀬やす子 | ||
| 「一握の砂」を誦(ず)するや春田打つ | 川野晶功 | ||
| 大声で下校子かざす蕗の薹 | 吉田裕子 | ||
| きりきりと余寒にからむ傷の痕 | 霜田嘉子 | ||
| 赴任地へ荷物に加ふ雛人形 | 桜井 保 | ||
| 雨水の日秀次の城眺めをり | 伊藤智之 | ||
| 喜寿迎へ新品シューズ野に遊ぶ | 小山重征 |
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| 根元にも日差し春待つ雑木山 | 三浦真佐子 | ||
| 春耕の畝黒々と未来あり | 吉田春子 | ||
| 春燈のひかりを嬰はつかみとる | 長峯寿子 | ||
| 喰積や三代続く妻の味 | 佐野 明 | ||
| 霜烈な冬満月に言失せり | 長瀬吉毅 |
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| 凍解けの眩しさ満つる田一枚 | 岩原和子 | ||
| 囀りにはづむ心の色は何 | 上坂とし子 | ||
| ブロンズの馬の蹄に風光る | 宝田静子 | ||
| 校庭は城趾巨木の花の満つ | 今村芳巨 | ||
| 産声を共に待ち侘ぶ福寿草 | 宮下陽子 | ||
| 春霧の峡幾曲がり木曽の朝 | 堀田芙美子 | ||
| 開け閉めの度にさ揺るる吊し雛 | 山瀬やす子 | ||
| 「一握の砂」を誦(ず)するや春田打つ | 川野晶功 | ||
| 大声で下校子かざす蕗の薹 | 吉田裕子 | ||
| きりきりと余寒にからむ傷の痕 | 霜田嘉子 | ||
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| 雨水の日秀次の城眺めをり | 伊藤智之 | ||
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