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| 鰯雲この時空のまろからず | |||
| 草田男(句集「長子」) | |||
| 冬の雲字(あざ)はたがへど山つづき | |||
| 幻 魚(句集「幻魚」不惑の詩より) | |||
| 「嗚呼玉杯」歌ふ青年冬銀河 | |||
| 紫 晃(句集「遠汽笛」昭和二十六年作) | |||
第一句集「長子」は昭和十一年発行で、同年に師は三十六才で結婚。「長子」掲載のこの句は師の童心と青春抒情の流露の作品であるが、単純な青春でなく「心情の青春・心の故郷の青春」を詠う句とも言われている。師は句集の後書で「作品は直ちに作者の分身」と記す。この句は、鰯雲を直叙せず、空の広漠したる光景を「円からず」と描写し、その先にある未来の空へも思いを馳せている。その心情こそ師の分身だと解釈させていただいた。私の恣意的追想をお許しいただきたい。
幻魚句は昭和二十四年作でまさに師の不惑の年齢。終戦後四年、黒姫創刊後三年、誌友も徐々に増え県内では上水内・埴科・南安曇・東筑摩・諏訪とかなり広範囲に亘り、幻魚師はその誌友との交流を大切にしていたことが当時の俳誌から読み取れる。その思いが《「字はたがへど山つづき」》に素直に表現されている。そして、昭和二十四年十二月号の編輯後記に《「俳誌の刊行と継続は、文芸の発展と共に、人・生活・社会といつもつながっている。句を作り人と生活と社会に活在させることを忘れてはならない。」》と記す。
紫晃句は師が黒姫入会後、数年後の作品で、未だ青春真っ直中二十代の作品。「嗚呼玉杯」は一高寮歌「嗚呼玉杯に花うけて」(明治三十五年作)として古くから知られた歌。戦後生まれの人は余り聞いてないと思うが、師の青春時代を代表する愛唱歌だったと思う。この句には作者自身が投影され、夜空に輝く冬銀河を見上げる自画像が映る。歌詞の一節「一たび起たば何事か、人生の偉業成さざらん」が当時の青年の志だった。
(北童記)
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| 天へ向き口開け放つ紅木槿 | 神田北童 | ||
| 明け方の川辺のちちろ衰へず | 〃 | ||
| 漫歩して漸くに逢ふ赤とんぼ | 〃 | ||
| 滞空の蜻蛉へ風のささやけり | 〃 | ||
| 航跡もさやけし湖を縦断す | 〃 | ||
| 湖囲み野分潜むる雑木山 | 〃 | ||
| 秋の蚊の不意に闇より唸りくる | 〃 | ||
| 秋草の噎(む)す只中に幻魚句碑 | 〃 | ||
| 秋草を薙ぎ師の句碑へ真向きたる | 〃 | ||
| 声限り菩提寺おおふ夕かなかな | 〃 | ||
| 墓訪へばかなかなの声迫り来る | 〃 | ||
| 秋蝉の骸(むくろ)とみれば動きだす | 〃 | ||
| 些事(さじ)忘る西へ伸びつぐ鰯雲 | 〃 |
先頭へ | 師の作品を学ぶへ | 主宰句へ | 黒姫抄へ | 博塵集 白塵集へ | 机塵集 清塵集へ
| 土石流跡の背の森蝉時雨 | 三浦真佐子 | ||
| 指先に祈りをこめて大根蒔く | 吉田春子 | ||
| 目を閉づる癖多くなり夜の晩夏 | 長峯寿子 | ||
| 暮れ泥む駒ヶ岳よりの風秋の声 | 佐野明 | ||
| 植田映ゆ蝦夷復興の槌音や | 新島俊哉 | ||
| 台風一過大河は龍の泳ぐごと | 小山まさ志 | ||
| 優し気に主張大きく白芙蓉 | 岩原和子 | ||
| 天へ鳴る秋の風鈴友偲ぶ | 上坂とし子 | ||
| 終日の雨を呑み込み海芋咲く | 宮下陽子 | ||
| 屋根たたく雨音に覚む秋思かな | 堀田芙美子 | ||
| 秋刀魚不漁家並の低き浜の町 | 今村芳巨 | ||
| ボランティア終ひ励みのアマリリス | 山瀬やす子 | ||
| 地下壕の鎮もる冷気晩夏光 | 長崎 蕗 | ||
| 乱れ萩乱るるままの葎宿 | 川野晶功 | ||
| 塑像かとまがふ青鷺みじろがず | 霜田嘉子 | ||
| そと寄ればこほろぎ鳴くをひたと止む | 邑上春代 | ||
| 送り火に去りゆく夫の影を追ふ | 吉田裕子 | ||
| 田の中の白鷺ふはり風に乗る | 植原洋子 |
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| 土石流跡の背の森蝉時雨 | 三浦真佐子 | ||
| 指先に祈りをこめて大根蒔く | 吉田春子 | ||
| 目を閉づる癖多くなり夜の晩夏 | 長峯寿子 | ||
| 暮れ泥む駒ヶ岳よりの風秋の声 | 佐野明 |
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| 植田映ゆ蝦夷復興の槌音や | 新島俊哉 | ||
| 台風一過大河は龍の泳ぐごと | 小山まさ志 | ||
| 優し気に主張大きく白芙蓉 | 岩原和子 | ||
| 天へ鳴る秋の風鈴友偲ぶ | 上坂とし子 | ||
| 終日の雨を呑み込み海芋咲く | 宮下陽子 | ||
| 屋根たたく雨音に覚む秋思かな | 堀田芙美子 | ||
| 秋刀魚不漁家並の低き浜の町 | 今村芳巨 | ||
| ボランティア終ひ励みのアマリリス | 山瀬やす子 | ||
| 地下壕の鎮もる冷気晩夏光 | 長崎 蕗 | ||
| 乱れ萩乱るるままの葎宿 | 川野晶功 | ||
| 塑像かとまがふ青鷺みじろがず | 霜田嘉子 | ||
| そと寄ればこほろぎ鳴くをひたと止む | 邑上春代 | ||
| 送り火に去りゆく夫の影を追ふ | 吉田裕子 | ||
| 田の中の白鷺ふはり風に乗る | 植原洋子 |
