2021/01 No.443

 

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師の作品を学ぶ
       
 初弥撒や碧眼神父和語朗々
  草田男(昭和四十八年作)
 ともに世の生死の絆初句会
  幻 魚(昭和五十年作・黒姫百六十八号)
 その果てにつつがさとさる初電話
  紫 晃(平成十五年作・黒姫三百三十六号)

草田男師、晩年の作品。師の存命中はカトリック信者では無く、キリスト教の関心は聖書中心であったと言われている。そして、逝去(昭和五十八年八月)寸前の病床にて洗礼を受けた。(霊名・ヨハネ・マリア・ピアン)しかし、奥様の直子様は熱心なカトリック信者であり、特に教会通いを欠かさず行い典礼を大切にされたと宮脇白夜氏の著書には記されている。この様な背景に立つと、この句の成り立ちは理解出来るし、句意も明解に響いてくる。家族に付き添い年初の初弥撒に参加した際、碧眼の神父が朗々と日本語でミサ説教をしている状景句である。

幻魚句は師の初句会への志が滲む作品。幻魚師は黒姫百六十号の巻頭言に「俳句は何を詠むべきか」の一文を寄せている。「俳句形式は極度に短小なので、暗示的、象徴的にしないと良い作品になり難い。これは、ひとごとならぬ私達の問題である。この作句技倆には並々ならぬ練達要求される故に敬遠看過されがちになる。この苦しみは実に重く大きい。然し、考えなければなるまい。今の俳句は幸福そうに遊戯している面はないだろうか」と自責自顧している。この思いが潜む幻魚句は複雑な心理が潜む。単純に表現上の解釈のみでは不足であろう。師が初句会を生死の絆とする根底には、阿弥陀経の一語“倶会一処”があると私は解した。

紫晃句は初電話と虚心坦懐に向き合って言葉を交わし相手が恙なく新年を迎えたことに気付かされたと簡潔な一句である。上五の措辞に人の交わり・人の絆の重みが潜んでいる。「季語とは人の内面を触発するもの」という草田男師の教えを熟知した紫晃師の爽やかさと親和感溢れる作品である。

(北童記)
 

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霜の声
       
 仏都の灯瞬き合へり星月夜神田北童 
 鎮もるる満天星紅葉まくれなゐ 〃 
 実の付かぬ被爆二世の柿紅葉 〃 
 帯雲の先まで染むる秋落暉 〃 
 朝風を弾ませ過る黄鶺鴒 〃 
 散りてなほ櫻紅葉のはなやぎぬ 〃 
 まなぶたへ秋の入日のかそけしや 〃 
 献灯の一句点りし秋祭 〃 
 あざ一つ田仕舞ふ煙ひとすぢに 〃 
 歩み止む落暉の落葉転び来て 〃 
 百々川どどがわの果てにまで沿ふ枯尾花 〃 
 神の留守欅大樹の孤高立つ 〃 
 明けやらぬ現し世の空霜の声 〃 

 

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黒姫抄
       
 どの田にも稲架一条の里景色奥原 修 
 小鳥来る中の一羽の紋著く井上ひさ子 
 色変へぬ松に不戦を誓ひけり吉田春子 
 見霽かす真赭まそほの薄戦ぎけり浅野竹廣 
 秋気満つ砂丘にのめり込む踵稲沢礼子 
 隣木に守られ一花帰り花小林陽子 
 手水舎に一杓含む冬の水神田三布縷 
 鈴緒振る古廟に立てば照葉かな山瀬やす子 
 柔らかに風跳ね返すねこじやらし奥原昭子 
 残照に満天星紅葉燃え尽くす北村秀男 
 見送りに出れば明々良夜かな今井絹江 
 偏屈も老いの矜持と落葉焚く茅野裕彦 
 村時雨賑はふ里の直売所川野晶功 
 ひつじ田の深き眠りや嶺白し若月すすむ 
 はにかみつ手を振る少女薄紅葉大畑杉子 
 秋澄むや連なるバイク谷奥へ植原洋子 
 仲秋を頬撫でゆける風に知る勝山千代枝 
 鬼やんま川辺の草に殻残す岡本忠夫 

 

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博塵集 白塵集
       
 どの田にも稲架一条の里景色奥原 修 
 小鳥来る中の一羽の紋著く井上ひさ子 
 色変へぬ松に不戦を誓ひけり吉田春子 
 見霽かす真赭まそほの薄戦ぎけり浅野竹廣 
 秋気満つ砂丘にのめり込む踵稲沢礼子 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 隣木に守られ一花帰り花小林陽子 
 手水舎に一杓含む冬の水神田三布縷 
 鈴緒振る古廟に立てば照葉かな山瀬やす子 
 柔らかに風跳ね返すねこじやらし奥原昭子 
 残照に満天星紅葉燃え尽くす北村秀男 
 見送りに出れば明々良夜かな今井絹江 
 偏屈も老いの矜持と落葉焚く茅野裕彦 
 村時雨賑はふ里の直売所川野晶功 
 ひつじ田の深き眠りや嶺白し若月すすむ 
 はにかみつ手を振る少女薄紅葉大畑杉子 
 秋澄むや連なるバイク谷奥へ植原洋子 
 仲秋を頬撫でゆける風に知る勝山千代枝 
 鬼やんま川辺の草に殻残す岡本忠夫