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| 汐浴びの声ただ瑠璃の水こだま | |||
| 草田男(句集「来し方行方」) | |||
| 佐渡見えず渚は百歩跣足にす | |||
| 幻 魚(句集「幻魚」・昭和四十三年作) | |||
| 郭公に応ふくわくこう山襖 | |||
| 紫 晃(句集「遠汽笛」・昭和四十五年作) | |||
草田男句は昭和二十二年作・三十九才時の作品。師の自句自解には「此の句は松山で唯一の海水浴場梅津寺(ばいしんじ)浜へ通いつめていた中学生頃に、半ば無意識的に体験していた海水浴場独特の雰囲気であり文学的確保の表現である。遠浅の瑠璃の海面全体に拡散され反響してくる水音と人声との混淆(こんこう)、飽くまでも、明るい大気全体の揺らぎつづける活気ある静謐(せいひつ)とでも形容したいハーモニイが句の芯となる」と記されている。活気と静謐・動と静の調和が此の句の根幹にある。「俳句は主観的なものは表面に出さず、季語と対象の自然に封じ込める」と師の教示そのものの句であると納得した。
幻魚句は新潟県の海岸線での作、師が還暦を迎えた時の句である。長野市から最短距離で行ける日本海の海岸線は、鵜の浜・柿崎・鯨波・柏崎・出雲崎・寺泊であるが、この句の次に「先ず旅は越路鵜の浜ほたる草」と句が続くので、鵜の浜から海岸線沿いに佐渡(さどが)島(しま)遠望の旅を計画したのであろう。日本海の天候は変りやすく佐渡島がはっきり見える時は少ない。師は渚を跣足で百歩波打ち際へと進み、流刑地としての長い歴史に包まれた佐渡島を、沖の茫洋と靄る波間の果てに偲んだのである。
紫晃句は国鉄勤務・四十五才の時の作。師はこの後、引き続き十余年の国鉄勤務で、白馬・塩尻・岡谷・薮原の助役・駅長を歴任されているが、この句の時点は最も多忙な壮年期であった。句の景観を想像すると、木曽谷・薮原駅周辺かもしれない。駅長として現地住まいをされていた頃の師の生活環境が彷彿と追想できる。呼び交わす郭公の声の谺が聞こえてくる様である。
(北童記)
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| 東に清明節の山光る | 神田北童 | ||
| たおやかに枝垂桜の地に触るる | 〃 | ||
| 鶯の声ひとすぢの光なす | 〃 | ||
| 囀や林に隣る美術館 | 〃 | ||
| 校舎より響く合唱リラ匂ふ | 〃 | ||
| 夏燕宙に対角線を切る | 〃 | ||
| 立夏の陽スコアボードの正面に | 〃 | ||
| 球児等の声揃へ駆く若葉風 | 〃 | ||
| 橋梁をくぐり薫風連山へ | 〃 | ||
| 老鶯の里山統ぶる声闌けり | 〃 | ||
| 郷関の山越え若葉風豊か | 〃 | ||
| 香を以て吾が頬に触るおほでまり | 〃 | ||
| 咲き初むる薔薇一輪のこころざし | 〃 |
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| 余花白し父母の塚より朝の風 | 奥原 修 | ||
| 無重力の毬浮ぶかに春の月 | 川原澄子 | ||
| 古稀迎へ子の逞しく春耕す | 吉田春子 | ||
| 天意あり地祇の声あり新樹光 | 浅野竹廣 | ||
| 天辺に白吹きこぼれ咲く辛夷 | 稲沢礼子 | ||
| 一花とて花瓶に余る紅牡丹 | 小林陽子 | ||
| 暁闇に泰山木の花重し | 神田三布縷 | ||
| 花片を掃き寄する今朝春惜しむ | 山瀬やす子 | ||
| 薫風や小さき駅に小さき椅子 | 奥原昭子 | ||
| さへづりや青邨句碑に日の斑揺る | 北村秀男 | ||
| 牡丹咲き極まりて尚紅淡し | 今村芳巨 | ||
| 一碧の空を彩る花林檎 | 川野晶功 | ||
| 友来る落花ひとひら髪に載せ | 大畑杉子 | ||
| たんぽぽの根深く大地しかと抱く | 塚本瑛子 | ||
| 水温むアフアンの森の光りあふ | 佐藤富子 | ||
| 香りまで控へ目定家葛の花 | 半田 満 | ||
| 作立ての畑の片隅うぐひす菜 | 岡本忠夫 | ||
| 春昼の野良に流るる市公報 | 小林 亨 |
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| 余花白し父母の塚より朝の風 | 奥原 修 | ||
| 無重力の毬浮ぶかに春の月 | 川原澄子 | ||
| 古稀迎へ子の逞しく春耕す | 吉田春子 | ||
| 天意あり地祇の声あり新樹光 | 浅野竹廣 | ||
| 天辺に白吹きこぼれ咲く辛夷 | 稲沢礼子 |
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| 一花とて花瓶に余る紅牡丹 | 小林陽子 | ||
| 暁闇に泰山木の花重し | 神田三布縷 | ||
| 花片を掃き寄する今朝春惜しむ | 山瀬やす子 | ||
| 薫風や小さき駅に小さき椅子 | 奥原昭子 | ||
| さへづりや青邨句碑に日の斑揺る | 北村秀男 | ||
| 牡丹咲き極まりて尚紅淡し | 今村芳巨 | ||
| 一碧の空を彩る花林檎 | 川野晶功 | ||
| 友来る落花ひとひら髪に載せ | 大畑杉子 | ||
| たんぽぽの根深く大地しかと抱く | 塚本瑛子 | ||
| 水温むアフアンの森の光りあふ | 佐藤富子 | ||
| 香りまで控へ目定家葛の花 | 半田 満 | ||
| 作立ての畑の片隅うぐひす菜 | 岡本忠夫 | ||
| 春昼の野良に流るる市公報 | 小林 亨 |
