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| 白き息はきつゝこちら振り返る | |||
| 草田男(句集「長子」昭和六年作) | |||
| 白息よ二児起たすまでの父ぞ吾 | |||
| 幻 魚(句集「幻魚」) | |||
| 元旦の計のひとつに歩くこと | |||
| 紫 晃(黒姫二八八号 平成七年作) | |||
新年を迎えると誰もが人生の節目を意識する。コロナ禍という無常観を意識させられる現実が続く中で、今号では三人の師が過ごして来た人生が如実に滲む作品を集めてみた。
草田男句は昭和六年作、師は東大在学中であり青年期後半の句である。宮脇白夜氏はこの句の解釈を「白い息を吐きながら作者・草田男師の方へ振り返ったのは若い未婚の女性である。」と記している。省略された主語が作者であると明解なる句であり、師の青春時代の一齣と考えてみた。
幻魚句は、師の壮年時代の作。師は二男一女に恵まれた。昭和十年に結婚、長男は昭和十五年(三十一才の時)長女は昭和二十二年、次男は昭和二十四年に誕生している。この間、幻魚師は太平洋戦争の荒波に翻弄され壮年期を過ごした。昭和十六年に兵役召集を受け、満州や東南アジア諸国を転戦し、スマトラで終戦を迎え復員したのは昭和二十一年で六年間の兵役を戦闘最前線で過ごしたのである。幻魚句には、重い戦争体験が深く滲んでいると思う。「父ぞ吾」の下五の決意に悲壮感が籠っていると感じた。
紫晃句は師が七十才の時の作。師は八十二才頃から療養生活の人生を過ごしたので、この句は老年期の初期作品と位置付け出来る。(師は平成二十六年没。)この句を作った時から老年期への健康維持策の訓練を身に課していたと思われる。師の実直で謹厳な性格が、この一句に表現されている。以上、青年期・壮年期・老年期と人生の断面が色濃く一句毎に表出されている三師の作品に出会い「句は己の形であり影である」との言葉の心髄に触れた思いだ。
(北童記)
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| しだれ萩ほのかな紅のさざめけり | 神田北童 | ||
| 墓誌の辺に黄菊白菊かがやきぬ | 〃 | ||
| いちめんに草原の綺羅露浄土 | 〃 | ||
| 立ち止まり釣瓶落しの刻数ふ | 〃 | ||
| 鳥渡る列の崩れず声も無し | 〃 | ||
| 晩秋の稜線残し暮れゆけり | 〃 | ||
| 晩秋の光る瀬音をいつくしむ | 〃 | ||
| 無人家の満天星紅葉燃え盛る | 〃 | ||
| 土手道の先達となる石たたき | 〃 | ||
| 立冬の一歩踏みしめ身を緊むや | 〃 | ||
| 堰の音痩せゆくままに冬迎ふ | 〃 | ||
| 冬浅し鉱毒川の瀬の緩ぶ | 〃 | ||
| 枯蘆の頑なに丈起たむとす | 〃 |
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| 高々と稲束投げて稲架を組む | 奥原 修 | ||
| 蝋梅や香りめでたき黄のまろみ | 川原澄子 | ||
| 空に照り地に照り銀杏黄葉かな | 徳久芳拙 | ||
| 先づ夫へ金箔の舞ふ今年酒 | 稲沢礼子 | ||
| 歓声の上がるあけびを手繰り寄せ | 宮下陽子 | ||
| 菜虫取る南無阿弥陀仏唱へつつ | 田中 和 | ||
| 朝霧や駿馬いななく牧の柵 | 神田三布縷 | ||
| 咲き残る野菊へ早も山の影 | 堀川悦子 | ||
| 晩学の今が愉しき秋ともし | 山瀬やす子 | ||
| 秋の夜や音の確かな古時計 | 奥原昭子 | ||
| 強霜の輝き満つる野辺の土手 | 大家惟男 | ||
| 蔦紅葉絡みて燃ゆる観音碑 | 北村秀男 | ||
| 浅間山白き冠冬隣 | 川野晶功 | ||
| 霜降るや仏飯の湯気ほはほはと | 大畑杉子 | ||
| 絵手紙を貰ひて気付く敬老日 | 長岡春美 | ||
| 負んぶの子「きれいだねえ」と蕎麦の花 | 梶田三千代 | ||
| 北風に走る白波海兎 | 半田 満 | ||
| 天を指し紅蓮の如く鷹の爪 | 山崎洋子 |
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| 高々と稲束投げて稲架を組む | 奥原 修 | ||
| 蝋梅や香りめでたき黄のまろみ | 川原澄子 | ||
| 空に照り地に照り銀杏黄葉かな | 徳久芳拙 | ||
| 先づ夫へ金箔の舞ふ今年酒 | 稲沢礼子 |
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| 歓声の上がるあけびを手繰り寄せ | 宮下陽子 | ||
| 菜虫取る南無阿弥陀仏唱へつつ | 田中 和 | ||
| 朝霧や駿馬いななく牧の柵 | 神田三布縷 | ||
| 咲き残る野菊へ早も山の影 | 堀川悦子 | ||
| 晩学の今が愉しき秋ともし | 山瀬やす子 | ||
| 秋の夜や音の確かな古時計 | 奥原昭子 | ||
| 強霜の輝き満つる野辺の土手 | 大家惟男 | ||
| 蔦紅葉絡みて燃ゆる観音碑 | 北村秀男 | ||
| 浅間山白き冠冬隣 | 川野晶功 | ||
| 霜降るや仏飯の湯気ほはほはと | 大畑杉子 | ||
| 絵手紙を貰ひて気付く敬老日 | 長岡春美 | ||
| 負んぶの子「きれいだねえ」と蕎麦の花 | 梶田三千代 | ||
| 北風に走る白波海兎 | 半田 満 | ||
| 天を指し紅蓮の如く鷹の爪 | 山崎洋子 |
