2022/03 No.450

 

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師の作品を学ぶ
       
 わが背丈以上は空や初雲雀
  草田男(句集「来し方行方」昭和二十二年作)
 遅々と春梢たつ鳥風の鳥
  幻 魚(黒姫百八十七号 昭和五十三年作)
 春の鵜の碧き円ら目川を恋ふ
  紫 晃(句集「青山椒」昭和六十二年作)

草田男句は自句自解を参考にすると「大地に立っているだけ、頭上で鳴きだすと、背丈から上は全部雲雀の空。すると自分は地を離れないのだが、自分の心は空の中にいるような気持になった。・・自分が釘付けになったままで、雲雀という存在に化しているような喜び」と鑑賞できる。「句材が人間の内面を触発する存在となる様な句作りが大切である」と師は示唆されているが、その真髄を示した一句であると思った。

幻魚句は、黒姫一八七号の巻頭十五句の中の一つで、題名「遅々と春」。(師は此の句を作る一年半前に奥様を亡くし一人住まい。そして一年半の独り居をして急逝された)この連作句は師の最晩年の生活そのものであり、「遅々と春」とは、当時の幻魚師の形であり影でもあると気付いた。此の句に並ぶ*春遅々と一事も成らず為さず「運」*の句がそれを物語っている。表記の句の「梢たつ鳥風の鳥」とは、鳥を「己の心」と考えて、その心が己をはなれていく場合と、世相の風に心が奪われている場合とあり、それが一人居の心の在処であるとして詠んだと解釈した。

紫晃句は分かりやすい写生句で春の長良川を訪れた時の作。「岐阜長良川鵜飼観光」が行われる時期は五月〜十月中旬なので、春の鵜はまだ小屋で飼育されている状態かもしれない。鵜達の碧い円ら目を見て師は「川を恋ふている」という鵜の慕情に共鳴感をいだいたのである。「円ら目」に触発された憐憫かもしれない。そこで、芭蕉の次の一句「おもしろうて やがてかなしき 鵜舟かな」が浮んできた。

(北童記)
 

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去年今年
       
 近寄れば眼動かす浮寝鴨神田北童 
 空耳に足音を聞き枯野ゆく 〃 
 望郷の味噛みしむる煮大根 〃 
 十二月光陰を知る雲の脚 〃 
 新たなる邂逅を告ぐ除夜の鐘 〃 
 なすままに齢重ねし去年今年 〃 
 初日の出耳底に湧く越天楽えてんらく 〃 
 雲払ひ弧の大いなる初日影 〃 
 新春の言の葉探す師の句集 〃 
 あら玉や愚鈍の一歩踏み出す 〃 
 人日や齢の軌跡辿り初む 〃 
 初薬師有縁うえん無縁の人の波 〃 
 厳寒や自然法爾じねんほうにの川の音 〃 

 

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黒姫抄
       
 一番水天より地より授かりぬ三浦真佐子 
 あかときの無音界なる初山河浅野竹廣 
 松のを灯して昇る初日の出古坂 房 
 人日や写仏も墨に身の締まる長田五月 
 何時に無く拍手雄々し初詣脇田 警 
 天と地と海と開き初む初明り新島俊哉 
 初刷りの先ずは重さを味はひぬ小林陽子 
 習はしに感謝し啜る七日粥岩原和子 
 注連縄の絆美し夫婦岩小山まさ志 
 お年玉きよとんと握るあどけなさ吉村郁子 
 雲割れて薄日おろがむ初御空長崎 蕗 
 爆ぜるたび子等の声和す三九郎茅野裕彦 
 地の呼吸微かに吐けり初浅間櫻井半吉 
 人生に戻りも欲しき絵双六佐藤澄子 
 雑踏にビートルズ聴く十二月佐藤富子 
 あら玉の夜明けの風を深く吸ふ松下米子 
 幼子のわめきて甘え笑初西 絹代 
 巫女達の髪に飾りし実千両小林 亨 

 

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博塵集 白塵集
       
 一番水天より地より授かりぬ三浦真佐子 
 あかときの無音界なる初山河浅野竹廣 
 松のを灯して昇る初日の出古坂 房 
 人日や写仏も墨に身の締まる長田五月 
 何時に無く拍手雄々し初詣脇田 警 
 天と地と海と開き初む初明り新島俊哉 

 

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机塵集 清塵集(同人・会員)
       
 初刷りの先ずは重さを味はひぬ小林陽子 
 習はしに感謝し啜る七日粥岩原和子 
 注連縄の絆美し夫婦岩小山まさ志 
 お年玉きよとんと握るあどけなさ吉村郁子 
 雲割れて薄日おろがむ初御空長崎 蕗 
 爆ぜるたび子等の声和す三九郎茅野裕彦 
 地の呼吸微かに吐けり初浅間櫻井半吉 
 人生に戻りも欲しき絵双六佐藤澄子 
 雑踏にビートルズ聴く十二月佐藤富子 
 あら玉の夜明けの風を深く吸ふ松下米子 
 幼子のわめきて甘え笑初西 絹代 
 巫女達の髪に飾りし実千両小林 亨