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| をみなの魂たかく召されつ聖母の月 | |||
| 草田男(昭和五十三年作。全集より) | |||
| 草五月往けば止れば鳥の発つ | |||
| 幻 魚(黒姫百八十二号・昭和五十二年作) | |||
| 五月の陽遍し芝生に像二つ | |||
| 紫 晃(黒姫二百八十四号。平成六年作) | |||
草田男句は師の奥様への哀悼句である。句の背景について宮脇白夜氏の文章を引用する。「草田男師の妻直子は昭和五十二年十一月、草田男の関西旅行に同行し高野山の僧坊で脳内出血で倒れ二十一日に逝去した。彼女はおよそ世事に疎かった草田男を終生強く支えた。又、彼女は若くして洗礼を受け熱心なカトリック信者であったから、草田男の後半のキリスト教的求道にも大きな影響を与えた。この句は死の半年後に作られた哀悼句。句の中の「をみな」は直子(霊名マリア・セシリア)を指し、「聖母の月」は聖母マリア月(五月)を讃えると同時にその空高くかかった月も意味し、作者はその月に神に召された直子の面影をみている」敬虔な祈りの句でもある。
幻魚句も急逝した奥様への哀悼句。奇しくも草田男師より一年前に同じ運命に遭遇していた。黒姫一八一号にその詳細の記載あり。(幻魚師の妻、春江様は昭和五十一年・十二月没。病床四週間で急逝・当時、幻魚師六十七歳)妻の逝去後の翌年、初夏の草原を散策している師の心情を描写した句であるが、徒歩の歩みを止めても進めても、草原の鳥達は直ぐに天界へ飛立つことに、妻への哀惜を重ねている。三年後に師も天界へ旅立つが、この句の鳥の発つ先には彼岸(涅槃)があり、師は此岸(現世)を往きつ止まりつして天界を仰いで居たのである。
紫晃句は安曇野散策での連作句の一つ。有名な碌山美術館界隈での作ではないかと想定してみた。五月の陽光が遍く燦々とふりそそぐ芝生に彫像が二つ置かれている。五月は草田男句にもある「聖母の月」であり、この二つの彫像にも聖母像の面影があるのではと追想した。碌山(荻原守衛)は安曇野穂高出身で「東洋のロダン」とも言われロダンに認められた弟子として知られている。
(北童記)
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| 早春の連山靄るどこまでも | 神田北童 | ||
| 春雪の野に一川の光延ぶ | 〃 | ||
| 早春や朝の彩雲流れゆく | 〃 | ||
| 春深雪重機のシャベル濁世掻く | 〃 | ||
| せせらぎの光を磨く春浅し | 〃 | ||
| 古草の取り囲みたる農魂碑 | 〃 | ||
| 細波のゆるりゆるりと水温む | 〃 | ||
| 水温む鷺の嘴うごかざり | 〃 | ||
| 春光の触るる瞼空仰ぐ | 〃 | ||
| 春窮の闇に聞こゆる寺の鐘 | 〃 | ||
| 啓蟄の空をジェット機雲走る | 〃 | ||
| 足許の平和尊し春日和 | 〃 | ||
| 我利利他の紛争果てず春北風 | 〃 |
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| 誌歴祝ぐ先師の句碑へ春日燦 | 吉田春子 | ||
| 卒寿越ゆいま春風の中にをり | 長峯寿子 | ||
| 戦止まず引鶴の声不穏なり | 徳久芳拙 | ||
| 御嶽山の秀づる姿樹氷越し | 宮下陽子 | ||
| 初春や和顔愛語の日日目指す | 神田三布縷 | ||
| 深閑の寺領にどさと雪残る | 田中 和 | ||
| 寒林の薄日に目覚む沢音も | 上坂とし子 | ||
| 木の芽吹く生き居ることのありがたさ | 堀田芙美子 | ||
| 耿耿と寒満月の神懸かる | 山瀬やす子 | ||
| 両岸を抉る匂ひや雪解川 | 宇田まさお | ||
| 國花たり櫻の春となりにける | 今村芳巨 | ||
| 寒風に抗ふ構へ鬼瓦 | 梅本香折 | ||
| こつとんと朝刊届く初寝覚 | 今井絹江 | ||
| 春光に裸婦像眩し竜ケ池 | 高野東山 | ||
| 笑み間近五百余年の臥竜梅 | 若月すすむ | ||
| 貯蔵葱ひと皮剥けばみづみづし | 中澤圭子 | ||
| 初鴉この世に潜む差別心 | 小山重征 | ||
| 天つ日や天守の鯱に風光る | 伊藤智之 |
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| 誌歴祝ぐ先師の句碑へ春日燦 | 吉田春子 | ||
| 卒寿越ゆいま春風の中にをり | 長峯寿子 | ||
| 戦止まず引鶴の声不穏なり | 徳久芳拙 | ||
| 御嶽山の秀づる姿樹氷越し | 宮下陽子 |
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| 初春や和顔愛語の日日目指す | 神田三布縷 | ||
| 深閑の寺領にどさと雪残る | 田中 和 | ||
| 寒林の薄日に目覚む沢音も | 上坂とし子 | ||
| 木の芽吹く生き居ることのありがたさ | 堀田芙美子 | ||
| 耿耿と寒満月の神懸かる | 山瀬やす子 | ||
| 両岸を抉る匂ひや雪解川 | 宇田まさお | ||
| 國花たり櫻の春となりにける | 今村芳巨 | ||
| 寒風に抗ふ構へ鬼瓦 | 梅本香折 | ||
| こつとんと朝刊届く初寝覚 | 今井絹江 | ||
| 春光に裸婦像眩し竜ケ池 | 高野東山 | ||
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| 貯蔵葱ひと皮剥けばみづみづし | 中澤圭子 | ||
| 初鴉この世に潜む差別心 | 小山重征 | ||
| 天つ日や天守の鯱に風光る | 伊藤智之 |
