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| けふ寒き藁塚に手をさし入れぬ | |||
| 草田男 (句集「来し方行方」)昭和十八年作 | |||
| 叢の枯るるは市塵つけゐたり | |||
| 幻 魚 (黒姫四十六号)昭和二十四年作 | |||
| 敷藁田連綿信濃冬に入る | |||
| 紫 晃 (黒姫百六十一号)昭和四十八年作 | |||
草田男句の背景となる時代を昭和史(半藤一利著)に確かめた。ガダルカナルが奪取さる・山本五十六長官の戦死・アッツ島玉砕・学徒出陣・インパール作戦の始動等、大戦末路へと向かう惨憺たる経過に改めて驚愕した。草田男師は四十四才で高等教員再教育の為日本精神文化研究所に通わされていたと年譜にある。激動する時代にもまれ乍ら、ふと一人郊外の田圃道を歩んだのであろう。師は刈田の隅に積まれた藁塚に手も差し入れ何を考えたのであろうか。藁塚の温もりを感じ取り、時代の激変の最中に生きぬく決意をされたのであろうか。上五は過酷な事態を象徴している様に私は受け止めた。
幻魚句は戦後四年経過した時点の作品。師は昭和十六年に兵役召集を受けて、四年間ソ連・満州国境・マレー・シンガポール・インンドネシアを転戦して昭和二十年八月スマトラ島で敗戦を迎え、翌年復員した。俳誌にはその記録は無いが、昭和二十四年十月号の編集後記に簡単な手記「六年間の兵役生活から解かれ田野の地に晴耕雨読の生活を望んだが、それはかなわず市井生活に戻り、戦後社会の離合集散・個と全体の世の波動に揉まれた」が記されている。この句はその心境を枯れた叢に託した句である。叢と同様に戦後の市塵を身に纏う幻魚師の詩人魂を強調した象徴句でもある。師が句誌に「博塵集」「机塵集」等、「「塵」の字を使った所以かもしれない。
紫晃句は同掲載作品から田仕舞いの句と想定。信濃の刈田には稲収穫後、脱穀済の藁を敷く習慣を多く見受ける。敷藁は田圃の肥料・保温・雑草防止等、信濃の寒い冬に備えて、多く利用価値があり、連綿と代々受け継がれてきた農作業である。信濃への冬到来の報せでもある刈田の敷藁に着眼した句である。
(北童記)
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| 見上げたるメタセコイアの天高し | 神田北童 | ||
| 山腹を小鳥の声の駆け巡る | 〃 | ||
| 裏山の新涼迫る大寺院 | 〃 | ||
| 無縁墓色なき風の吹き寄すや | 〃 | ||
| 秋の声子安地蔵をつつみたり | 〃 | ||
| 鐘韻のさざ波となる送盆 | 〃 | ||
| 萎れても盆供花の彩なほ褪せず | 〃 | ||
| 山稜の影睦み合ふ星月夜 | 〃 | ||
| 秋蝉を十王堂の縁で聞く | 〃 | ||
| じ―じーとひたすら誦す秋の蝉 | 〃 | ||
| 鳴く声の心尽しや秋の蝉 | 〃 | ||
| 秋蝉に満州慰霊碑囲まれし | 〃 | ||
| 秋蝉の声ひとすぢや純夫句碑 | 〃 |
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| 暦剥ぐことも物憂き極暑かな | 三浦真佐子 | ||
| 電線に鳴かぬ鴉や炎天下 | 吉田春子 | ||
| 夕日抱く仏足石へ桐一葉 | 浅野竹廣 | ||
| 長崎忌万物の声空に融く | 徳久芳拙 | ||
| 山頂の霧に尊き光の輪 | 宮下陽子 | ||
| 虫時雨極みに達す月天心 | 神田三布縷 | ||
| 飴片手子等の追ふ山車芝宮へ | 小山まさ志 | ||
| 昔三重今は小さき輪木曽踊 | 堀川悦子 | ||
| ぴよんと出てじつと見詰むる青蛙 | 奥原昭子 | ||
| 枝折戸の爪紅はじく人の影 | 川野晶功 | ||
| 雷鳴や栞に閉づる歳時記を | 大畑杉子 | ||
| 島影に雷光光る音も無く | 半田 満 | ||
| 朝顔や校舎の窓辺青く染む | 梶田三千代 | ||
| 敗戦忌地下壕活くる観測所 | 若月すすむ | ||
| 百日紅診察帰り晴々と | 松下米子 | ||
| 木曾川を跨ぐ大小虹二つ | 生路光子 | ||
| 古き良き時代を炊き込む藷御飯 | 小林 亨 | ||
| 尼寺の朝事の鉦の涼しさよ | 小山重征 |
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| 暦剥ぐことも物憂き極暑かな | 三浦真佐子 | ||
| 電線に鳴かぬ鴉や炎天下 | 吉田春子 | ||
| 夕日抱く仏足石へ桐一葉 | 浅野竹廣 | ||
| 長崎忌万物の声空に融く | 徳久芳拙 | ||
| 山頂の霧に尊き光の輪 | 宮下陽子 |
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| 虫時雨極みに達す月天心 | 神田三布縷 | ||
| 飴片手子等の追ふ山車芝宮へ | 小山まさ志 | ||
| 昔三重今は小さき輪木曽踊 | 堀川悦子 | ||
| ぴよんと出てじつと見詰むる青蛙 | 奥原昭子 | ||
| 枝折戸の爪紅はじく人の影 | 川野晶功 | ||
| 雷鳴や栞に閉づる歳時記を | 大畑杉子 | ||
| 島影に雷光光る音も無く | 半田 満 | ||
| 朝顔や校舎の窓辺青く染む | 梶田三千代 | ||
| 敗戦忌地下壕活くる観測所 | 若月すすむ | ||
| 百日紅診察帰り晴々と | 松下米子 | ||
| 木曾川を跨ぐ大小虹二つ | 生路光子 | ||
| 古き良き時代を炊き込む藷御飯 | 小林 亨 | ||
| 尼寺の朝事の鉦の涼しさよ | 小山重征 |
