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| 鶯の一つの声の向ふ山 | |||
| 草田男 (句集「長子」)“春”所収) | |||
| 雁帰る櫓三方上田城 | |||
| 幻 魚 (黒姫百四十一号)昭和四十年作) | |||
| 春の鳶谷の広さが村の幅 | |||
| 紫 晃 (句集「青山椒」昭和五十五年作) | |||
草田男句の背景について、宮脇白夜氏の言葉がある。「草田男は“眼”の人であり、“耳”の人ではなかったが、初学時代にはこうして耳での写生も心掛けたのである。」鶯は同じ場所で立て続けに鳴くことは無い。草田男師は鶯の一声を聞いて耳を澄ましたが同じ所から起こらず、鳴声の地点を越えて山々が累々と広がる光景と向き合ったのである。一つの声の余韻に大自然の奥行きが潜む句と解釈した。
幻魚句は信州の名城址、上田城址での写生句。上田城址に現存する櫓は南櫓・北櫓・西櫓があり、この三方の櫓を越えてシベリヤ等北方から渡ってきた雁が列をなし北へ帰る雄大な風景句である。上田城は藩主、真田昌幸・信繁(幸村)が三万二千の徳川大軍を撃退した逸話で有名であり、その歴史的背景を持つ城址とそれを越え大陸に帰る雁の列との取り合わせに「悠久な時の流れ」を感じた。
紫晃句は師が長年勤務したJRを退職する年に木曽谷の某駅へ赴任となり、その時作った作品群の中の一句。この他に心に留まる句「任地木曽詩心戻せば山笑ふ」「美しと見し谷の春星新任地」がある。この句を一読すると直ぐ、木曽谷の風景が想起できる。春の木曽谷の空を鳶が悠々と舞う景を眺め、谷の村の幅を知り、其処に住む村人へと思いを馳せた句である。当時、木曽谷周辺には黒姫会員が多く居て、俳句を通し師とは篤い交流があった。
木曽藪原駅前公園に建つ紫晃師句碑
「逢うも駅 訣るるも駅 いわし雲」が眼に浮かぶ。
(北童記)
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| 立冬や錫杖握る地蔵尊 | 神田北童 | ||
| 見上げては銀杏落葉の綺羅を踏む | 〃 | ||
| 冬日没る対岸の灯のほつほつと | 〃 | ||
| 風を待ち微かに揺るる枯芒 | 〃 | ||
| 見上げたる冬満月の尊厳を | 〃 | ||
| 冬の月輝きを秘め中天に | 〃 | ||
| いつときの入日まばゆし枯木山 | 〃 | ||
| 枯葉舞ふ道程未だ遥かなり | 〃 | ||
| 一川の瀬音なだらに初明り | 〃 | ||
| 群雲を透ける初日の眩しけり | 〃 | ||
| 元旦の地震恐ろしき束の間や | 〃 | ||
| お元日人の無力を地震教ふ | 〃 | ||
| 元日の地震に戦き一日暮る | 〃 |
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| 木曽谷のまばゆき星座霜のこゑ | 吉田春子 | ||
| 一斉の出航の銅鑼淑気満つ | 浅野竹廣 | ||
| 駒ケ岳の水引き込む池や龍の玉 | 宮下陽子 | ||
| 田仕舞の煙ひとすじ鳶高し | 三浦真佐子 | ||
| 手を合はす形にてらてら冬木の芽 | 田中 和 | ||
| 猫二匹巴となりて日向ぼこ | 北村秀男 | ||
| 若水を汲む暁闇の一つ星 | 佐藤澄子 | ||
| オリオンの両手の限り西の空 | 大畑杉子 | ||
| 一行由緒を添へて雑煮椀 | 半田 満 | ||
| 幾筋の輝く襞や初浅間 | 若月すすむ | ||
| 冬三日月森の梢に架かりけり | 神田三布縷 | ||
| 注連作り農で鍛へし卒寿の手 | 山瀬やす子 | ||
| 父の齢超えて自問の初湯かな | 川野晶功 | ||
| 冬鴉沼杉の秀にまた帰る | 北沢久子 | ||
| 初暦気持新たに正す反り | 長岡春美 | ||
| 能登地震言葉にならぬ初日記 | 松下米子 | ||
| 木の瘤と思へばふくら雀かな | 岡田裕衣子 | ||
| 世界中平和を願ふ初暦 | 工藤チトミ | ||
| 七種の揃はぬままに粥を炊く | 生路光子 | ||
| 明け方に雪掻励む我ひとり | 宮澤文規 |
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| 木曽谷のまばゆき星座霜のこゑ | 吉田春子 | ||
| 一斉の出航の銅鑼淑気満つ | 浅野竹廣 | ||
| 駒ケ岳の水引き込む池や龍の玉 | 宮下陽子 | ||
| 田仕舞の煙ひとすじ鳶高し | 三浦真佐子 | ||
| 手を合はす形にてらてら冬木の芽 | 田中 和 |
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| 猫二匹巴となりて日向ぼこ | 北村秀男 | ||
| 若水を汲む暁闇の一つ星 | 佐藤澄子 | ||
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| 一行由緒を添へて雑煮椀 | 半田 満 | ||
| 幾筋の輝く襞や初浅間 | 若月すすむ | ||
| 冬三日月森の梢に架かりけり | 神田三布縷 | ||
| 注連作り農で鍛へし卒寿の手 | 山瀬やす子 | ||
| 父の齢超えて自問の初湯かな | 川野晶功 | ||
| 冬鴉沼杉の秀にまた帰る | 北沢久子 | ||
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