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| 軍隊の近づく音や秋風裡 | |||
| 草田男(句集「長子」)“秋”所収) | |||
| ゴム林を泉へ駆けて犬と兵 | |||
| 幻 魚(句集「幻魚」所収) | |||
| 残る紅葉昭和のかをる谿の宿 | |||
| 紫 晃(黒姫三百十七号 平成十二年作) | |||
草田男句は句集「長子」の秋に収載、昭和八年作である。昭和史の年表を回顧すると、昭和初期は満州事変から始まり五・一五事件と二・二六事件・日中戦争を経て太平洋戦争終結まではまさに戦争史の繰り返しであった。此の句のように軍隊が東京の市街地を行進しているのは日常茶飯事だったのであろう。句の自解の一節に「軍歌演習にしても、軍靴のひびきにしても、沈痛でしみ込んでくるような感じ」とある。草田男師・三十三才。
幻魚句は昭和十六年、日本の真珠湾攻撃・太平洋戦争開戦布告での国家総動員法にて、師が三十三才で兵役召集を受け三十六才までの四年間マレー、シンガポール、インドネシア等を転戦した当時を回顧した数少ない戦争体験句の一つである。師は昭和二十年八月スマトラ島で敗戦を迎え、昭和二十一年六月復員した。この句の他に「仏桑華山青い日は風が荒る」「馬来見ゆ山々見ゆと汗拭けり」等の戦陣での数句が残されている。
以上、心に痛みを感じる第二次世界大戦の現実を草田男師・幻魚師の句から抜粋した。永久(とこしえ)なる平和を現代の誰もが願っているが、世界では今も戦は絶えない。戦争の報道は日々続く。誠に無念である。沢山の苦しみと悲しみを体験した戦後日本の足跡を、これからも決して忘れてはならないと思っている。
紫晃句は、幻魚二十回忌法要句会が済み、数日後に須坂市に接する高山村山田温泉で宿泊した際の作品である。山田温泉のある松川溪谷は標高差があり、楓・山毛欅・ななかまど等の広葉樹が赤・黄色と染まり長期間に亘り楽しめる地。草田男・幻魚師の生きた時代を偲んで、溪谷に残る紅葉を見ながら紫晃師はその面影と共に昭和のかをりをゆっくりと谿の温泉宿に味わった句であると解釈した。
(北童記)
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| 梅雨明の空に爆音ヘリ一機 | 神田北童 | ||
| 山青葉雉鳩の声くぐもりぬ | 〃 | ||
| 蝉の声止む一瞬の刻止まる | 〃 | ||
| 池央に立つ青鷺の身じろがず | 〃 | ||
| 雨止みて弁天小滝音弾む | 〃 | ||
| 弁天橋見上ぐる亀の眼涼し | 〃 | ||
| あめんぼう細波に乗り無心なる | 〃 | ||
| 池に映え瞑想に更く合歓の花 | 〃 | ||
| 遠雷の近づき池の鯉騒ぐ | 〃 | ||
| 笹鮓の看板古し池の端 | 〃 | ||
| 冷麦に添ふ一菜の清々し | 〃 | ||
| 立葵高きに紅の鮮やげり | 〃 | ||
| 筆塚の背に迫る雲の峰 | 〃 |
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| 紫陽花のうなじの疲れ昼下り | 吉田春子 | ||
| 紫陽花の雨には藍を深くせり | 古坂 房 | ||
| 悪しき血も吸はれたくなし山の蛭 | 新島俊哉 | ||
| 田水張る逆さ御嶽足下に | 稲沢礼子 | ||
| 薄紅に風も染めたる合歓の花 | 小林陽子 | ||
| 谿底の柳絮漂ひつつ上る | 北沢久子 | ||
| 夏めくや棚田に急ぐ水の音 | 山瀬やす子 | ||
| 郭公の己が谺に鳴き返す | 北村秀男 | ||
| 六条の揃うて曲る田植跡 | 櫻井半吉 | ||
| 孵化すでに貝を巻たる蝸牛 | 若月すすむ | ||
| 冷麦の掬ひ残しが薬味抱く | 茅野裕彦 | ||
| 泣き寝入る曽孫に遠き蚊遣香 | 佐藤澄子 | ||
| 包丁の向き変へてみる曲り瓜 | 大畑杉子 | ||
| 青き空めざし咲き継ぐ立葵 | 石田富子 | ||
| 水隠し風にそよぐは青田かな | 生路光子 | ||
| 雨上がり甘味増したる淡竹の子 | 山崎洋子 |
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| 紫陽花のうなじの疲れ昼下り | 吉田春子 | ||
| 紫陽花の雨には藍を深くせり | 古坂 房 | ||
| 悪しき血も吸はれたくなし山の蛭 | 新島俊哉 | ||
| 田水張る逆さ御嶽足下に | 稲沢礼子 | ||
| 薄紅に風も染めたる合歓の花 | 小林陽子 |
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| 谿底の柳絮漂ひつつ上る | 北沢久子 | ||
| 夏めくや棚田に急ぐ水の音 | 山瀬やす子 | ||
| 郭公の己が谺に鳴き返す | 北村秀男 | ||
| 六条の揃うて曲る田植跡 | 櫻井半吉 | ||
| 孵化すでに貝を巻たる蝸牛 | 若月すすむ | ||
| 冷麦の掬ひ残しが薬味抱く | 茅野裕彦 | ||
| 泣き寝入る曽孫に遠き蚊遣香 | 佐藤澄子 | ||
| 包丁の向き変へてみる曲り瓜 | 大畑杉子 |
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| 青き空めざし咲き継ぐ立葵 | 石田富子 | ||
| 水隠し風にそよぐは青田かな | 生路光子 | ||
| 雨上がり甘味増したる淡竹の子 | 山崎洋子 |
