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| 千手万指のよろこび如何に梅蕾む | |||
| 草田男(句集「美田」昭和三十年作) | |||
| 迎春花歳々年齢も神の御意 | |||
| 幻 魚 (黒姫百五十七号 昭和四十八年作) | |||
| 恵方なる故山の一峰鴇色に | |||
| 紫 晃(黒姫二百七十六号 平成五年作) | |||
新年を迎えて、草田男師著「俳句入門」を開き、改めて俳句の本質を探ってみた。第一章の「【俳句は世界の古典中においても第一位を占めうるくらいに、ふかい人間性と、宇宙の美と生命とを普遍的に内蔵している文学とも、なりうるのです。】」の一節がその本質であると再確認した。この言葉を原点として、三師の新年の俳句を私流に鑑賞させていただく。
草田男句は沢山咲いた「梅の蕾」に「千手万指のよろこび」を感じ「喜び如何に」と強調されている。まさに「美と生命」の躍動である。「千手万指」は千手観音像の模写で沢山の蕾の比喩にもなる。
幻魚句は迎春花(黄梅)の開花を迎える度に、加齢を意識する己の心境を素直に句にされた。この時六十四才。この時点から逝去(七十才)まで短期間であったが、各種句会選者・信濃毎日新聞記事の投稿、NHK・SBCの番組に出演等多忙な日々を送った。その現実が中七・下五の背景にある。「神の御意」には、師が俳句と共に生かされている日々の感謝が集約されている。この句の掲載黒姫誌の編集後記の師の一文を転載する。「今年も凡々と着々と歩きたい。定めたことは実行していきたい。変わりばえもしないことを飽きもせずつづけていくこと。楽あれば苦あり苦あれば楽あり。この世はイロハ歌留多」
紫晃句は平成五年、黒姫新年号の巻頭「故山一峰」の第一句に掲載された作品である。師の自宅は松本市街地を流れる「薄川」の畔にあり土手へ出ると北アルプス連山が西方に連なり、真正面には常念岳の雄姿が聳える。この句の「一峰」をこの常念岳と定めてみた。中腹より頂上まで新雪に覆われ、鴇色に染まった故山・常念岳を遠望して師は何を決意されたのであろうか。
(北童記)
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| 末の秋池面に黙のゆき渡る | 神田北童 | ||
| 目頭に露の玉垂る石地蔵 | 〃 | ||
| 末の秋遠へ向かひて鳴く鴉 | 〃 | ||
| 落日や満天星紅葉燃え盛る | 〃 | ||
| 多彩なる菊庭園の花の波 | 〃 | ||
| 無人家を閉ざす枯蔓幾年も | 〃 | ||
| なすままに一日の過ぐる冬初め | 〃 | ||
| 冠雪の白馬連山襞蒼く | 〃 | ||
| 新雪の北ア峻嶺繋ぎ合ふ | 〃 | ||
| 初冬を迎ふ稜線顕にし | 〃 | ||
| 初冬の月残りたる夜明け前 | 〃 | ||
| 初冬の宵の明星ありありと | 〃 | ||
| 冬晴や色即是空そのままに | 〃 |
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| 溜池の青さは深き水の秋 | 三浦真佐子 | ||
| 濡れ色の抜き菜音よく刻みけり | 古坂 房 | ||
| 凍蝶にふつと我が身を顧みる | 稲沢礼子 | ||
| 佃煮の老舗の燈火親しかり | 新島俊哉 | ||
| 冬紅葉主無き家を照らすとも | 小林陽子 | ||
| 稲滓火の匂ひの残る峡の村 | 北沢久子 | ||
| 身のほどに咲いて色増す野紺菊 | 山瀬やす子 | ||
| 一日の輝き手繰り酔芙蓉 | 佐藤富子 | ||
| 「巴錦」殿様菊と呼ぶさうな | 若月すすむ | ||
| 川尻に鴎の集ふ秋の暮 | 半田 満 | ||
| 日を散らし栃の黄葉谷を埋む | 上坂とし子 | ||
| 冬ざれや光を曳きて終電車 | 櫻井半吉 | ||
| 紫蘇の実の扱く穂先に花白き | 大畑杉子 | ||
| 稲架掛けの並びし棚田一望す | 石田富子 | ||
| 何はとも留守居の出来て冬に入る | 松下米子 | ||
| 雪吊の男結びに縄を張り | 工藤チトミ |
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| 溜池の青さは深き水の秋 | 三浦真佐子 | ||
| 濡れ色の抜き菜音よく刻みけり | 古坂 房 | ||
| 凍蝶にふつと我が身を顧みる | 稲沢礼子 | ||
| 佃煮の老舗の燈火親しかり | 新島俊哉 | ||
| 冬紅葉主無き家を照らすとも | 小林陽子 |
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| 稲滓火の匂ひの残る峡の村 | 北沢久子 | ||
| 身のほどに咲いて色増す野紺菊 | 山瀬やす子 | ||
| 一日の輝き手繰り酔芙蓉 | 佐藤富子 | ||
| 「巴錦」殿様菊と呼ぶさうな | 若月すすむ | ||
| 川尻に鴎の集ふ秋の暮 | 半田 満 | ||
| 日を散らし栃の黄葉谷を埋む | 上坂とし子 | ||
| 冬ざれや光を曳きて終電車 | 櫻井半吉 | ||
| 紫蘇の実の扱く穂先に花白き | 大畑杉子 |
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| 稲架掛けの並びし棚田一望す | 石田富子 | ||
| 何はとも留守居の出来て冬に入る | 松下米子 | ||
| 雪吊の男結びに縄を張り | 工藤チトミ |
