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| 夕桜あの家この家に琴鳴りて | |||
| 草田男(句集「長子」“春”所収) | |||
| 壺に溢るアネモネの夜を無心に寝る | |||
| 幻 魚 (黒姫八十三号 昭和二十八年作) | |||
| 佇めば東風が囁く「まだ歩め」 | |||
| 紫 晃(黒姫三百四十三号 平成十六年作) | |||
草田男句は第一句集「長子」の冒頭 “帰郷”の三句目である。師が二十四才まで住んでいた故郷の四国・松山へ帰郷した時の作品。九年ぶりに懐かしい風景に出合い、夕桜を仰ぎながら散策すると、町並みの家々から琴の音が聞えてきて耳を傾けたのである。琴の音も草田男師を迎えてくれたのである。句集では、この句の次に、松山城を詠んだ「夕桜城の石垣裾濃なる」の名句が続く。城を訪ねる途中、琴の音が聞えてくる風情に夕桜を重ねると、刻が止まる感動を師は覚えたのでは無いだろうか。現代では余り出合うことの出来ない刻の流れであると追想させていただいた。
幻魚句は「葉笛」のタイトルで十句掲載されている中の一句。然し、この句は葉笛とは直接関係は無いと思う。「子が描く夢父が描く夢散歩の葉笛」の句が並んで掲載されているが幻魚師も散歩で葉笛の嗜みがあったのかもしれない。散歩の疲れであろうか、夜の眠りは深く、壺に溢れるアネモネを枕元に置いて無心に寝る状景。アネモネはカラフルで種類が多いけど香りはない。幻魚師はそれを承知で視覚で花の楽しみを満足した後、無心の眠りについたのである。「無心」にはなれない凡人に行動で教示してみせたのだ。
紫晃句は晩年病魔に襲われる少し前、七十代の句である。紫晃師は最晩年に闘病でとても苦労された。名誉主宰で退かれる十年前の句である。「まだ歩め」の題名での俳誌巻頭七句の中のひとつ。この時、師は心も体も充実されており、結社の先頭に立ち牽引していただいた。真佐子・あつ子・北童が俳誌編集作業を補助。三百五十号到達を一年後に控え結社理念・信条を確認し己の為に句を作る道を歩もうと決意された際の一句である。句の「まだ歩め」は、その信念と心情であると考えてみた。
(北童記)
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| 年頭の烏一声過ぎりゆく | 神田北童 | ||
| 天命を天に問ひたり年新た | 〃 | ||
| 初空を見上ぐ無心の一歩かな | 〃 | ||
| 動かざる雲と対峙す年新た | 〃 | ||
| 二日はや稜線つつむ雲新た | 〃 | ||
| 年新た池面すべてに光立つ | 〃 | ||
| 新年の鷺うごめきて朝日待つ | 〃 | ||
| 新年の月の孤高に星ひとつ | 〃 | ||
| 神木を見上げ吐く息白々と | 〃 | ||
| 年新た瀬音変はらぬ刻つむぐ | 〃 | ||
| 洋館のドアに輪飾つつましく | 〃 | ||
| 竿先の達磨崩るるどんどの火(ほ) | 〃 | ||
| どんどの火取り巻く声のどつと挙ぐ | 〃 |
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| 散らしたる菜に微かな香七日粥 | 三浦真佐子 | ||
| 注連作る十指健やか卒寿なほ | 吉田春子 | ||
| 東雲や空の高きを初鴉 | 浅野竹廣 | ||
| 冬温し三線響く水牛車 | 宮下陽子 | ||
| 鏡餅ならびスーパー賑はへり | 田中 和 | ||
| 垂りてはしづりを誘ふしづり雪 | 北村秀男 | ||
| 独り居のくらしの中の年用意 | 高野東山 | ||
| 星の夜やきりきり育つ軒氷柱 | 堀川悦子 | ||
| 街騒にほぐるる心十二月 | 佐藤富子 | ||
| 雪の晴農夫林檎の枝を剪る | 櫻井半吉 | ||
| 冬木の芽芽鱗鎧の形して | 若月すすむ | ||
| 初暦なにもなき日々願ひつつ | 西 絹代 | ||
| 亡き句友得意としたる根深汁 | 山崎洋子 | ||
| 黒姫山や居住まひ正し雪袴 | 小林素邦 |
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| 散らしたる菜に微かな香七日粥 | 三浦真佐子 | ||
| 注連作る十指健やか卒寿なほ | 吉田春子 | ||
| 東雲や空の高きを初鴉 | 浅野竹廣 | ||
| 冬温し三線響く水牛車 | 宮下陽子 | ||
| 鏡餅ならびスーパー賑はへり | 田中 和 |
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| 垂りてはしづりを誘ふしづり雪 | 北村秀男 | ||
| 独り居のくらしの中の年用意 | 高野東山 | ||
| 星の夜やきりきり育つ軒氷柱 | 堀川悦子 | ||
| 街騒にほぐるる心十二月 | 佐藤富子 | ||
| 雪の晴農夫林檎の枝を剪る | 櫻井半吉 | ||
| 冬木の芽芽鱗鎧の形して | 若月すすむ |
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| 初暦なにもなき日々願ひつつ | 西 絹代 | ||
| 亡き句友得意としたる根深汁 | 山崎洋子 | ||
| 黒姫山や居住まひ正し雪袴 | 小林素邦 |
