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| 泛ける蟇眼泰し顎を水に漬け | |||
| 草田男(句集「来し方行方」)昭和二十二年作) | |||
| 蛙鳴け灯が点けばとて君も泊つよ | |||
| 幻 魚 (黒姫百三十五号 昭和三十九年作) | |||
| 遠蛙ページにあふれたる日記 | |||
| 紫 晃(句集「遠汽笛」)昭和五十七年刊行) | |||
草田男句は写生句で一読すると蟇の姿がすぐ浮かんでくる作品である。この句の掲載された句集の跋に、「国家は今度の未曾有の戦時を経て.其近代化の第一次のいとなみの終端に一応遭遇するべく余儀なかった。・・・国民の一人であるところの私といふささやかな今後の運命も、使命も、畢竟、極言すれば大なる国家のそれの縮小図以外の何物でもない」 と終戦後の師の心境が述べられている。この様な思いを前提に改めて師の句を読むと、直叙されている蟇の泰き眼の泛ける姿は、敗戦国の一人として生きる使命に複雑な惑いを感じ、慮(おもんばか)る師の姿だと受け止められる。一見、泰らかであるが重みある思いが蟇の顎までを水に漬けたのである。
幻魚句は師が昭和三十九年、日本国有鉄道を退職した時の作。当時五十五才。前年に「長野県俳人協会」を結成し、初代事務局長に就任。俳人としての気力満々の時期である。県内の俳人とも広く交流をすることは日常の姿であり、その交流の旅の途上での一句。知己の俳人との交流の宿泊地で句友を待つ絆を表現している。夕蛙の声を聞き乍ら句友を待つ心情を吐露した一句。
紫晃句は、第一句集「遠汽笛」の前半に掲載されている。師が昭和二十二年から本格的な俳人として発進する時期の作品。(昭和二十四年黒姫入会・昭和五十四年・黒姫主宰)初期作品なので素直な表現に身近な句材を捉えての一句、イマ・ワレ・モノの基本的な句作要点を踏襲している。師は謹厳実直で日記は長年継続し記録していたとお聞きしている。その日常生活の有様が明瞭にあふれる作品。「遠蛙」の響きが一句の余韻として心に残ると受け止めさせていただいた。
(北童記)
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| 青空の一切は空春近し | 〃 | ||
| 垂る枝を池の薄氷閉じ込めし | 〃 | ||
| 調べあり春風に乗る堰の音 | 〃 | ||
| ほつほつと老松飾る春の雪 | 〃 | ||
| 啓蟄や大樹仰げば雲動く | 〃 | ||
| 福寿坂辿れば木の芽をちこちに | 〃 | ||
| ブーメラン放つ児の手に春の風 | 〃 | ||
| 気付かれぬままはこべらの庭隅に | 〃 | ||
| パンジーの優しく揺れて鉢溢る | 〃 | ||
| 百選の雅桜の先ず芽ぐむ | 〃 | ||
| ものの芽や歩をゆるめたる福寿坂 | 〃 | ||
| 曼荼羅に弁天島の木の芽吹く | 〃 | ||
| 春雪の重き雫や友逝去 | 〃 |
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| 交はりし人にみな恩名草の芽 | 三浦真佐子 | ||
| 幾千の星の瞬き春隣 | 浅野竹廣 | ||
| 立春の明るき日差し水動く | 古坂 房 | ||
| 目覚めよと呼ぶ聲ありや蕗の薹 | 新島俊哉 | ||
| コサージュを母へ放ちて卒業す | 小林陽子 | ||
| 春眠し読みかけの本落つるまま | 堀川悦子 | ||
| 鐘の音の包む宿坊梅の花 | 川野晶功 | ||
| 落雪の響きを遠くティータイム | 梶田美千代 | ||
| 木蓮の冬芽蒼天に光り合ふ | 佐藤富子 | ||
| 啓蟄や巡らす松の菰を解く | 若月すすむ | ||
| 臥竜山句碑満開の花にふれ | 佐藤澄子 | ||
| 開演を待ちし老女の春ショール | 大畑杉子 | ||
| 橇あそび踵ふん張り地獄坂 | 秋元美波 | ||
| ものの芽の生気が迫る硝子戸に | 小林 亨 | ||
| 鞦韆の記憶遥けし友の逝く | 圃中英美 |
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| 交はりし人にみな恩名草の芽 | 三浦真佐子 | ||
| 幾千の星の瞬き春隣 | 浅野竹廣 | ||
| 立春の明るき日差し水動く | 古坂 房 | ||
| 目覚めよと呼ぶ聲ありや蕗の薹 | 新島俊哉 | ||
| コサージュを母へ放ちて卒業す | 小林陽子 |
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| 鐘の音の包む宿坊梅の花 | 川野晶功 | ||
| 落雪の響きを遠くティータイム | 梶田美千代 | ||
| 木蓮の冬芽蒼天に光り合ふ | 佐藤富子 | ||
| 啓蟄や巡らす松の菰を解く | 若月すすむ | ||
| 臥竜山句碑満開の花にふれ | 佐藤澄子 | ||
| 開演を待ちし老女の春ショール | 大畑杉子 |
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| 橇あそび踵ふん張り地獄坂 | 秋元美波 | ||
| ものの芽の生気が迫る硝子戸に | 小林 亨 | ||
| 鞦韆の記憶遥けし友の逝く | 圃中英美 |
