
平成二十六年度黒姫俳句会交流句会報告
今村芳巨 記
四月二十一日、JR岡谷駅頭で二十七名の黒姫句会員が合流。分乗して諏訪湖釜口水門に向かった。吟行地は此処で晴天下の八ヶ岳と富士山遠望、湖周十六キロを囲む満開の桜を楽しみ、琵琶湖周航歌作詞の岡谷出身、小口太郎の記念碑で彼の歌を合唱するとの計画であったが、傘を差す程の雨でもなく、まずまずのスタートであった。
鴬の声の切り込む周航歌 芳拙
花冷えや水門落ちる水谺 房
一行は湖周を歩き昼食の場所に向かう。
つぎつぎとうなぎ屋に消ゆ花衣 守
諏訪湖畔夏の土用のうなぎ食ぶ まさ志
そしてホテル山王閣の出迎えのバスでホテル入り、直ちに第一句会が開かれた。
濡れそぼつ柳絮踏みしめ一句待つ 陽子
第一句会 特選句紹介
北童主宰選 濡れそぼつ柳絮踏みしめ一句待つ 小林陽子
同人会長代行 吉田長久選 閃閃と葦の角打つ波頭 黒森敦子
第一句会 一句抄
れんぎょうの燃え「周航の歌」熱き 北童
神在す水面にやわし花の雨 長久
柳萌ゆ雨に煙れる船溜り 澄子
柳絮飛ぶ浮けども往かぬ舫い舟 紀男
小口の詩しつとり唱和す花の下 増江
鯉幟つらなり游ぐ諏訪湖畔 まさ志
水門に語り部委ね春の湖 香折
波うちの柳青めり水五則 蕗
春雨や波打つ魚道の音高し 半吉
しだれ柳なびきて句友の熱き背に 千代枝
花万朶水門一基水を吐く 明
散りしきる柳絮あかりに漢うた ひさ子
太郎像つつむ連翹花あかり 礼子
花並木湖を鏡に咲き満つる 久
琵琶湖詠む碑の在り所花おぼろ 吉毅
さみどりの湖畔の柳風さそう とし子
波すこし荒き諏訪湖や花万朶 芙美子
芽柳の彩を育む湖の風 房
天竜になる濁流や春の荒れ 泰絵
鰻焼く煙も美味しい湖畔亭 茂由
わが生の一会と仰ぐ今日の花 古鷹
天竜川の始点に立てり花の雨 守
句考する湖岸の芽吹き風さやか 智之
湖の景を滲ます春の霧 芳拙
花の下琵琶湖周航歌を唱ふ 芳巨
かくて第一句会は終了。小休止、温泉入浴の後、夕食、懇親会となった。遠来の川原澄子さんの乾杯以降各員和やかな酒宴が始まった。昼の鰻に副えられた「蜆汁」と本席の「わかさぎの南蛮漬」は、共にこの諏訪湖産である。春夜は更けてゆく
瞬かぬ花冷えの夜の諏訪の灯よ 敦子
第二句会 特選句紹介
北童主宰選 神がかる老鴬の声根入り杉 野口 久
同人会長代行 吉田長久選 鶯の掛け合ふ静寂宮の杜 上坂とし子
千代八千代苔むす神樹諏訪の宮 本多紀男 増江、芙美子選
鶯の掛け合ふ静寂宮の杜 上坂とし子 長久、礼子選
鶯の声も厳か一の宮 神田北童 香折、茂由選
神がかる老鴬の声根入り杉 野口 久 北童、ひさ子選
人麻呂忌幣めぐらしてさざれ石 井上ひさ子 古鷹、敦子選
胆へ響く奉拝太鼓春深し 神田北童 房 選
石棺の伝説秘めて春湖明く 今村芳巨 蕗 選
登校の道は境内桜咲く 古畑泰絵 久 選
もみの木や春あけぼのの宮詣で 吉田長久 紀男選
花曇り銀の湖面の諏訪写す 櫻井半吉 芳巨選
朝東風や絵馬に二人のかすれ文字 吉田長久 半吉選
春朝の日差湖面を射る光 佐野 明 芳拙選
祈祷者の平頭深く鶯鳴く 櫻井半吉 明 選
瞬かぬ花冷えの夜の諏訪の灯よ 黒森敦子 守 選
散る花や賽銭に籠む苦吟かな 堀田芙美子 千代枝選
湖の光りて始む諏訪の町 徳久芳拙 泰絵選
春暁や微動だにせぬ御柱 村田 守 とし子選
さざれ石注連の幾筋花の雨 青木増江 澄子選
諏訪大社囀りぬける楽のごと 青木増江 まさ志選
竜頭より御神湯吐く春やしろ 今村芳巨 吉毅選
第二句会 一句抄
御用材芽吹く勢ひに手を触れぬ 川原澄子
夕霞赤き橋桁蓋ひけり 小山まさ志
神域に画架忘れあり花曇 梅本香折
見はるかす湖一周の灯のおぼろ 長崎 蕗
神おはす木遣りの余韻鶯や 勝山千代枝
句会果て汲みし安堵や春の宿 友部古鷹
秋宮の幣の白妙花ぐもり 稲沢礼子
触れてみゆ白松の幹さみどりに 上坂とし子
忠孝の狛犬守る大社の春 奥谷茂由
