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炎熱や勝利のごとき地の明るさ | |||
草田男(句集「来し方行方」昭和二十二年作) | |||
岳下(がくか)昨夜(きぞ)師の会ありき炎夏尽く | |||
幻 魚(句集「幻魚」昭和五十年作) | |||
嘗て師に蹤きし並木路玉四葩 | |||
紫 晃(句集「青山椒」昭和六十一年作) |
草田男師が一歳年上の伊丹万作に深く兄事していたことを知った。そこでこの句は万作が、「映画春秋」創刊号への発表記事(昭和二十一年八月)「戦争責任」に関わることを、当然踏まえた作品であると私は直感した。敗戦日本の現実に「肯定と光明の方向を模索しつつ前進」と師は句集跋中に記しているので、この句は日本の将来を念願する気持が背景にあると香西照雄氏は述べている。自解は「道路を隔てた夏の真昼のくらめくように明るい野面を見渡した時にできた」とある。「地の明るさ」こそ草田男師の求道精神到達点と解釈してみた。
幻魚句は、草田男師が北ア連山に臨む豊科を訪れた時の句で、たまたま幻魚師が所用で参席出来ず、その悔しい心情を炎夏に預けた作品。豊科には草田男句碑「蜻蛉ゆくうしろ姿の大きさよ」が建立されている。
紫晃句は箱根の萬緑全国大会時での草田男師への追慕句。師は昭和五十八年に逝去。嘗て草田男師に蹤いて歩いた四葩毬花の並木路を、紫晃師が一歩づつ確かめる様に歩む光景である。
(北童記)
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雪解川無量壽光のひとすぢや | 神田北童 | ||
生業の春灯ぽつり山裾に | 〃 | ||
連嶺の影泰然と花曇 | 〃 | ||
青空へ うごめき辛夷咲き揃ふ | 〃 | ||
花冷えや盆地くまどる灯の明し | 〃 | ||
舫ひ綱触れあふ音の春惜しむ | 〃 | ||
残り鴨濁声を上げ誰を呼ぶ | 〃 | ||
スイツチバック鉄路の軋み春深し | 〃 | ||
色褪せず冠着駅の余花一樹 | 〃 | ||
妙義山余花誇るかに岩狭間 | 〃 | ||
山塊の懐に余花ほのぼのと | 〃 | ||
つーぴーと鳥語はじけて夏きざす | 〃 |
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みづうみはすでに夕照翁草 | 奥原 修 | ||
リハビリの男歩きや春日傘 | 井上ひさ子 | ||
桜蘂天啓のごと降りしきる | 吉田春子 | ||
茎立やとどのつまりをつつましく | 森泉 透 | ||
初燕去来する縁つくづくと | 大家惟男 | ||
初咲きや息つめて切る白牡丹 | 青木増江 | ||
野地蔵を撫で行く園児長閑なり | 小山まさ志 | ||
武者幟鍾馗の睨み宙に浮く | 神田三布縷 | ||
この声は確かに小瑠璃山住まひ | 徳久芳拙 | ||
峡の道はなやぐ色のどつと春 | 半坂峰子 | ||
水温む洞(うろ)出で鯉の真顔かな | 牛山徳治郎 | ||
若葉風独りの午後のアメリカン | 奥原昭子 | ||
昭和の日戦中戦後母強し | 本多紀男 | ||
ふらここのどちら前向き後ろ向き | 長岡春美 | ||
春一番競ひ立ちする杉の鉾 | 吉田裕子 | ||
履き慣れし靴捨てられず春惜しむ | せきのとし | ||
陽炎ひて石置く屋根のゆらゆらり | 西 絹代 | ||
鳥交る葦原の国生まれけり | 新島俊哉 |
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みづうみはすでに夕照翁草 | 奥原 修 | ||
リハビリの男歩きや春日傘 | 井上ひさ子 | ||
桜蘂天啓のごと降りしきる | 吉田春子 | ||
茎立やとどのつまりをつつましく | 森泉 透 | ||
初燕去来する縁つくづくと | 大家惟男 |
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初咲きや息つめて切る白牡丹 | 青木増江 | ||
野地蔵を撫で行く園児長閑なり | 小山まさ志 | ||
武者幟鍾馗の睨み宙に浮く | 神田三布縷 | ||
この声は確かに小瑠璃山住まひ | 徳久芳拙 | ||
峡の道はなやぐ色のどつと春 | 半坂峰子 | ||
水温む洞(うろ)出で鯉の真顔かな | 牛山徳治郎 | ||
若葉風独りの午後のアメリカン | 奥原昭子 | ||
昭和の日戦中戦後母強し | 本多紀男 | ||
ふらここのどちら前向き後ろ向き | 長岡春美 | ||
春一番競ひ立ちする杉の鉾 | 吉田裕子 | ||
履き慣れし靴捨てられず春惜しむ | せきのとし | ||
陽炎ひて石置く屋根のゆらゆらり | 西 絹代 | ||
鳥交る葦原の国生まれけり | 新島俊哉 |